約 2,053,244 件
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A.処分性 ※処分性は、取消訴訟の訴訟要件。行政法2部参照。→宇賀行政法概説Ⅱ(初版)p140など 一般に、条例の制定は処分性を有しない。 ただし、高裁判決でも言われるように、その条例の制定をもって行政庁が法の執行として行う処分と実質的に同視できるような極めて例外的な場合、には処分性を認める余地もある。 →宇賀p151 神戸地決平成19年2月27日賃金と社会保障1442は、本件と同じような保育所廃止条例につき、処分性を 認めたうえで、廃止に対する仮の差し止めを認めた。 大津地判平成4年3月30日判タ794-86は、公立小学校廃止条例の処分性を肯定 B.処分の違法性 C.事情判決 処分の違法性が認められたとしても、事情判決として請求は棄却されうる。(行政事件訴訟法31条) 1審はこのようにして請求棄却。
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アメリカのJCAHOは、報告された内容につき、患者や医師などの個人名など特定情報を削除してテータベース化しており、患者などは情報にアクセスできないことになっている。連邦法によってピアレビューの民事訴訟への開示を制限する規定も存在する。(医療事故情報システムの機能要件4頁) ニューヨーク州においても州法上明確に院内情報、院外情報へのアクセス制限を定めている。政府へのインシデント報告および、病院内で事故原因究明を行う質評価委員会の設置設置を定め、これらの報告情報は、患者には公開されず、また、患者は院内報告書にアクセスできないことが法律上明文で示されている。一方で、医師に対する行政処分を管轄するOPMCは非常に強力な調査権限を有しており、情報がNYPORTSからOPMCに流通しているため、医師にとって報告へのディスインセンティブとなる恐れがある。また、NYPORTSは病院へのらいセンシングを行う期k名であるため、病院から報告された情報に基づいて、病院に制裁を加えることもあり、これ自体報告を萎縮させる恐れがある。このように、行政処分への利用について州法上の利用制限がない。 米国では多くの州で報告された院外情報および院内報告書は民事訴訟に利用できないとするピアレビュー特権が整備されている。この背景として、通常訴訟では陪審制をとるのが3~4%であるのに対し、医療過誤訴訟では25%であるといわれていること、また、米国の証拠法ではディスカバリ制度が採用されていること、巨額賠償を背景に言いがかり的な訴訟が多いことがある、とされる。 日本の報告制度において、情報の利用制限を主張するならば、まずこのような背景の違いをもとに、なおかつ情報保護の必要を強調すべきであろう。ただ、報告情報の処分への利用制限を主張するだけでは、患者の納得を得られないと考えられる。なぜなら、情報を出さない制度にすればするほど、患者の情報への渇望が魔師、紛争を大きくする可能性がある。むしろ、情報をできるだけオープンにし、信頼できる医療を社会に提供することが医療者に求められると考えられる。
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民事訴訟法(平成8年6月26日法律第109号) 最終改正:平成24年5月8日法律第30号 民事訴訟規則(平成8年12月17日最高裁判所規則第5号) 最終改正:平成27年6月29日同第6号 平成23年(2011年) ①[民事訴訟法]国際裁判管轄に関する規定(5月2日・法36)ほか ②[関連法]5月25日:(新)非訟事件手続法(法51)・家事事件手続法(法52)の成立 →②については、平成24年以降刊行のものが対応している。 【基本書】 〔メジャー〕 和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』商事法務(2012年8月)……辰已のLIVE本シリーズで受験生にはお馴染みの著者による、民事訴訟法全体を通覧する教科書。藤田・講義民訴と違い、一冊で民事訴訟法の体系・論点をある程度カバーすることができる。条文及びその趣旨を重視して、図表を多用し、著者自身の言葉で噛み砕いた説明を行っているのが特徴的である。メリハリも効いており、重要論点については、まさに「司法試験に必要な程度」に学説(新堂、高橋など)も取り上げられているため、的確に問題認識をすることができる良書である。ただし「必要十分な最小限の知識量」に抑えるために削らなければならなかった内容も多いとのこと。これをどう評価するかは読者次第である。A5判、634頁。なお、同書の簡略版として、『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』商事法務(2015年10月、A5判、214頁)がある。 三木浩一・笠井正俊・垣内秀介・菱田雄郷『民事訴訟法(LEGAL QUEST)』有斐閣(☆2015年3月・第2版)……東大・京大・慶應の教授陣により、旧訴訟物理論の立場から執筆された基本書。重要事項については、判例・通説から丁寧に解説しつつ、各論点について採用する説を明示する。また、理論的な見地から、通説とは異なる用語を使用する場面がいくつか見られる(「客観的併合」→「客体的併合」、「主観的併合」→「主体的併合」、「訴訟資料」→「主張資料」など)。異説を採用することが少なくない(主に三木執筆部分)ので、注意は必要である。しかし、その場合にも、通説は丁寧に説明されているため、受験的な弊害は少ない。掲載判例は400以上と類書よりも多く、安定感がある。A5判、730頁。 藤田広美『講義民事訴訟』東京大学出版会(2013年4月・第3版)……総研・講義案の原著者である元裁判官によって書かれた教科書。民事訴訟法の体系書ではなく、民事訴訟実務の手続きを図表を多用してコンパクトにまとめた本である。『民事訴訟実務の基礎』などに近い。たまに論点を取り上げて独自の考察をしているが、おおむね学説の対立には分け入らない傾向にあり、実務上定着している論点はほとんど所与のものとして扱っている(たとえば訴訟物論争についても、最小限度の記述に留めている)。前半部分で要件事実についても多くの頁を割いて解説しているため、内容が薄いという評価もある。もっとも、新司法試験にはこの一冊で充分と言われることもあり、賛否両論あるところだろう。はしがきやあとがきを見ると、本書が民訴の初学者に向けて書かれたものであるということは明らかだが、民法・民訴・要件事実について一通り知識がないと読みこなせないとの評価もある。第2版では、手形訴訟手続・簡易裁判所手続・上訴などの記述を補充し、頁数がかなり増えた。第3版では、司法研修所の方針変更に合わせて、要件事実の記述を変更したうえで、書式の一部、調停に関する記述を削除した。なお、本書を補完するものとして、下掲『解析民事訴訟』がある。A5判、656頁。 〔その他〕 山本弘・長谷部由起子・松下淳一『民事訴訟法(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2013年10月・第2版)……「手続の時系列に則し、手続の主体である原告、被告および裁判所の手続の節目ごとの行動規範を明らかにする構成(はしがき)」を採用。多数当事者訴訟の項目を設けず、手続内で随時説明を加える構成が目を引く。近時の多数説をベースにしながら、より先端的な有力学説にも適宜触れており、薄いように見えて重要な論点は意外なほど網羅的に拾っている。しかしながら、個々の掘り下げは不充分であり、本書のみで合格水準の理解に到達することは困難と言うほかない。もし本書を基本書に据えるのならば、百選解説、争点その他演習書等による積極的な補充が要求される。なお、クロスリファレンスを徹底しているのは学習者に嬉しい配慮である。四六判、492頁。 新堂幸司『新民事訴訟法』弘文堂(2011年8月・第5版)……学界の到達点を示す最高水準の体系書。千頁を超える浩瀚な体系書ではあるが、文章は非常に柔らかく、論旨も明快であるため読みやすい。文章そのものは柔らかいが、その一文一文にとても深い意味が込められた、示唆に富んだ内容となっており、著者の問題意識や利益考量の手腕を味わいながら読み進めたい。具体例が豊富なので分かりやすいが、新堂説は結論の妥当性を柔軟に追求するものであり、いわゆる概念法学を好まないため、初学者にとっては取り組みづらい内容となっているかもしれない。第4版では、訴訟承継等で改説。第5版では、証明度について優越的蓋然性説を採用するなどの改説、一般条項における要件事実と証明責任について加筆等している。なお、非訟事件手続法・家事事件手続法には対応していない。A5判、1064頁。 伊藤眞『民事訴訟法』有斐閣(2014年7月・第4版補訂版、☆2016年11月・第5版予定)……学者執筆の基本書としては珍しく旧訴訟物理論。民訴の要である用語の定義がしっかりしており、新堂と共に引用されることが多い。実務家からの信頼も厚い一冊。著者の見解がはっきりと打ち出されているタイプの基本書であるが、はしがきにも"概説書"とある通り、通説・多数説などについてもしっかりと言及はあるので、それほど心配はいらない。論点の網羅性は高く、またその理由付けは簡潔かつ明瞭でわかりやすい。全体として堅牢な体系と妥当性を重視した解釈が特徴。「定評ある民事訴訟法のスタンダードテキスト」の評は伊達ではないが、図の類は用いない『堅い』基本書であり、あまり初学者向きではない。A5判、816頁。 裁判所職員総合研修所監修『民事訴訟法講義案』司法協会(2016年6月・3訂版)……実務説(旧訴訟物理論)。原著者は上掲『講義民事訴訟』の藤田広美。掲載されている論点が豊富。ただし司法試験に関係ない記述も多くある。3訂版は、平成22(2010)年発行の再訂補訂版(B5判、434頁(本文396頁)に、その後の家事事件手続法、非訟事件手続法の新設に伴い、必要な加筆修正がされたもの。B5判、434頁(本文384頁)。(3訂版については評価待ち。) 中野貞一郎・松浦馨・鈴木正裕編『新民事訴訟法講義(有斐閣大学双書)』有斐閣(2008年5月・第2版補訂2版)……各分野を代表する教授陣による共著の概説書。第一人者による安定感のある記述が特徴で、極めて使い勝手が良い、実務でも役立つ一冊。基本的には新訴訟物理論の立場をとるが、当然、旧訴訟物理論についてもきちんと解説がなされている。そもそも、訴訟物理論によって結論に大きな差が生じないのが近年の傾向であるから、取り立てて気にする必要はない。論点も豊富に取り上げられており、学習者を意識した解説は平明であり秀逸。ただし、さすがに初学者向けではないので、先に入門書を読んでおくとよい。また、執筆者によって文体と脚注の使い方が著しく異なるため、一冊の本としての統一性を求める読者には不向きである。いずれにせよ、受験生にとって無難な選択であることは確かである。はしがきにある「最良の基準書」との称号は言い得て妙であり、基本書選びに迷ったら、本書を選んでおいてまず間違いはない。なお、藤田広美『講義民事訴訟』との相性がよいとの声がある。A5判、748頁。 上田徹一郎『民事訴訟法』法学書院(2011年6月・第7版)……基本事項を網羅的かつ丁寧に解説する教科書。縦書き。教育的配慮から基本部分と応用部分を本文と脚注に2分して解説する独特のスタイルをとっている。自説主張が弱く、判例・学説の発展の経緯が丁寧に書かれている。他の基本書に比べ分量は少なく見えるが、割り注などを含めるとその情報量は予想外に膨大である。最新の議論は意外と書いてあったりするものの、小さい字だったり注に押し込められていたりして見づらいのが難点である。かつては受験生トップシェアだったが、伊藤や藤田のシェアが増加する一方、本書を利用する学生は減少傾向にある。だが、教育効果の高い良書であることに変わりはないので、民訴が苦手な人や初学者は試す価値がある。著者高齢のため、第6版・第7版の改訂は上田の意向を受けた稲葉が行った。本文に変更はほとんどなく、稲葉が論点を補充したほか、新判例や新立法のみを巻末にまとめて追加しただけの、やや残念な改訂となっている。百選の引用が3版のままであることがまま見受けられるのも残念。ただ、判例追補は短答対策に有益だという意見もある。なお、著者は2013年に逝去。A5判、760頁。 松本博之・上野泰男『民事訴訟法』弘文堂(☆2015年9月・第8版)……新訴訟物理論(二分肢説)。共著とは言え、執筆者は2名であり、言葉の定義にぶれはなく、クロスリファレンスも充実している。本書の大きな特徴としては、松本の執筆する単純訴訟の第1審手続の部分と、上野の執筆する複雑訴訟および上訴の部分では、書きぶりがまったく異なるという点があげられる。まず、松本執筆部分については、基本的には自説(大抵は少数説)の紹介が中心となっているが、その根拠を他の著作や研究論文に丸投げしている箇所がちらほらあるほか、文章もややわかりにくく、かなり読み手の力量が問われる内容となっている。初学者には推奨しにくいが、示唆的な記述が多く、合格レベルの実力者や実務家にとっては有益である。次に、上野(民訴の天才とも、破壊神とも)の執筆する複雑訴訟および上訴の部分は、思考の整理が行き届いており、文章が分かりやすく、判例や多数説をきっちり踏まえた内容となっており、非常に読みやすい。結論として少数説を採る箇所もあるが、そうした箇所でも深々と立ち入るのは避けている。難しい議論は文字のポイントを落とすなど、記述にメリハリがあり、制度趣旨の説明も丁寧で、学生向け教科書としても出色の完成度である。高橋宏志も本書を最重要文献の一つとして挙げているなど、学界からの評価も非常に高い一冊である。A5判、996頁。 長谷部由起子『民事訴訟法』岩波書店(2014年3月)……民訴版サクハシと呼ばれることもある、『基礎演習民事訴訟法』の編者の長谷部による体系書。定義がしっかり書いてあり、記述がまとまっているのが特徴。判例の紹介が物足りない点もあり、和田民訴の方がよいという声も。論点によっては深く掘り下げてある。何よりも薄い体系書であり、サッと要点を確認するのに向いている。A5判、472頁。 小林秀之『民事訴訟法(新法学ライブラリ10)』新世社(2013年5月)……A5判、488頁。 小林秀之編『新法学講義 民事訴訟法』 悠々社(2012年5月)……A5判、441頁。 小林秀之・山本浩美『明解民事訴訟法』法学書院(2012年4月・第2版)......全32章。問答方式により理解をすすめることを目的としている。巻末資料として書式の引用が豊富。第2版で国際裁判管轄規定に対応。民訴の基本書にしては比較的薄く、さらに基本書とのクロスレファレンスが徹底しており初心者には向く。重厚な基本書に撃退されがちなものは試してみるとよいだろう。ただ、ウリのはずの問答形式の部分は制度の説明や前提などに充てられており、試験などで重要な部分については通常の文章で書かれている。A5判、552頁。 小林秀之・原強『民事訴訟法(新・論点講義シリーズ9)』弘文堂(2011年7月)......国際裁判管轄規定に対応。B5版、352頁。 小林秀之『アドバンス民事訴訟法 民事訴訟法をマスターする』日本評論社(2007年7月)……A5判、384頁。 小林秀之『民事訴訟法がわかる 初学者からプロまで』日本評論社(2007年4月・第2版)……A5判、424頁。 林屋礼二『新民事訴訟法概要』有斐閣(2004年9月・第2版)……最高の「概説書」。16年改正対応。500頁という分量ながら用語の定義や基本概念については他に類を見ないほど非常に充実しており、文章も分かりやすい。複雑訴訟が独立の項目になっていないなど、一般的な基本書とは大きく異なる構成をとっているために初学者にはとっつきにくいと思われるが、そのような配慮を理解できる中上級者にとっては極めて高い価値がある。現在は絶版となっており、有斐閣でオンデマンド版の購入が可能であるが、1冊10,000円(税別)と高価格なのがネック。A5判、516頁。 小島武司『民事訴訟法』有斐閣(2013年3月)……大家の手になる本格派の体系書。横書き・本文のみで930頁となる大著であるばかりでなく、1頁あたりの文字数も非常に多い(小フォントや脚注の多用による。)。したがって、受験用教科書として読みこなすのは難しいだろう。意外と内容にムラがあり、辞書としての使い勝手もそれほど良いとはいえない(ex.二段の推定に関する記述のあまりの少なさに愕然とする人も多いのではないか)。とはいえ、著者の見解はおおむね穏当なものにまとまっており、高橋、伊藤、松本といった近時の有力説もしっかりフォローしつつ、最終的には判例・通説(多数説)をとることが少なくない。良く言えば格調高い、悪く言えば勿体ぶった表現が目立ち、ようやくたどり着いた結論が無難きわまるものであるときには、ある種のガッカリ感は否めない。10年の執筆期間を経たこともあり、一部、法改正のフォローアップができていない(「破産宣告」なる用語が多数見受けられる、抗告訴訟における被告の変更にかかる行政事件訴訟法改正に対応していない、家事事件手続法非対応など)。A5判、1026頁。 川嶋四郎『民事訴訟法』日本評論社(2013年4月)……新刊の体系書。はしがきや索引まで含めると優に1000頁を超える大著であり、日本評論社刊行の書籍としては屈指の厚さとなっている。A5判、1056頁。なお、同『民事訴訟法概説』弘文堂(2016年3月・第2版、A5判、608頁)は学生向けに特化した教科書であり、こちらのボリュームは600頁程度に抑えられている。 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『民事訴訟法(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2012年4月・第6版補訂版)……新訴訟物理論。薄くて通読向き。学説の対立にはあまり分け入らず、判例の紹介は多いがほんの数行程度であり、単に問題提起をしただけで終わってしまっているような個所も散見される。文書もSシリーズにしては硬く、初学者は本書のみではどうにもならないだろう。上級者のまとめ用としてなら便利か。四六判、352頁。 三谷忠之『民事訴訟法講義』成文堂(2011年7月・第3版)……薄め。判例重視。15年改正対応(第2版)。A5判、468頁。(第3版は評価待ち。) 河野正憲『民事訴訟法』有斐閣(2009年5月)……横書き900頁超。概して重たい傾向にある民訴の基本書の中でもひときわボリュームがある。判決文を頻繁に、かつ長めに引用している点に特色がある。概念的な説明が多い民事訴訟法の基本書の中でも、とくにその概念を具体的に説明することに気を払っている。その分、論点に対する解説は頁数の割に薄くなってしまっている。A5判、970頁。 納谷廣美『講義民事訴訟法』創成社(2004年6月)……読み易くコンパクト。通説と判例の理解を中心に据える。実務も重視。演習書『演習民事訴訟法』創成社(2005年2月)はさらに通説解説に徹底。 梅本吉彦『民事訴訟法』信山社(2009年4月・第4版)……分厚い文字どおりの体系書。育ての母への感謝の想いを綴ったはしがきは、涙なしでは読めない。A5判、1188頁。 岡伸浩『民事訴訟法の基礎』法学書院(2008年9月・第2版)……弁護士の著作。読みやすく、判例の紹介も詳細。A5版、576頁。 吉村徳重・竹下守夫・谷口安平編著『講義民事訴訟法』青林書院(2001年4月)……竹下守夫・谷口安平らが関わった新法対応の教科書。井上、伊藤、河野、春日など大学双書とかなり執筆者が被っている。大学双書が理論面での解説に力を入れているのに対し、こちらは概ね通説・実務の立場にたち、それがどのように運用されているかを解説する。大学双書よりはあっさりしているが、総研や藤田ほど蛋白ではなく、また予備校的論点解説ではない。学説の錯綜に混乱した時本書を読んでみるのもありかもしれない。A5判、608頁。 稲葉一人『民事訴訟法講義 理論と演習』法学書院(2015年4月)……法科大学院での、基本書として、また演習書として使われることを意図したテキスト。著者の裁判官経験を生かした「実務の視点」からも解説。演習問題は三つのレベルを用意し、読者の学習段階に合わせた内容。A5版、591頁。 【その他参考書】 高橋宏志『重点講義民事訴訟法 上・下』有斐閣(2013年10月・第2版補訂版、2014年9月・第2版補訂版)……2分冊。体系書・教科書・概説書などではなく、いわゆる重要論点の数々を取り上げて深く論じている論点の解説書である。純制度的・手続的知識には触れていないが、学界で争いのある論点についての網羅性は極めて高く、分厚い体系書でさえ一言も触れていないような細かな論点であっても、脚注などで拾い上げて、それなりに論及していることが多い。まさに広さと深さとを両立した本であり、近年の司法試験のタネ本となっている。しかし、レベルが高い本であることから、司法試験の合格水準に到達するレベルでよければ、必読とは言えない。A5判、860頁・876頁。 ☆高橋宏志『民事訴訟法概論』有斐閣(2016年3月)……法学教室連載「民事訴訟法案内」に加筆修正を行い単行本化。いわゆる民事訴訟法の基本書というより、民事訴訟法全分野にわたる論点集といった趣。目次を見ればわかるが、旧司の一行問題のような小見出し(例:「当事者の確定とはどういう作業か。」)を立てて、これに対する高橋流の解説を述べていくという叙述スタイルで初学者もメリハリをつけて読むことができる。高橋説を前面に出しているが、自説が少数説であることや判例が反対の立場をとっていることをきちんと説明しているので初学者でも混乱することなく読める。また、ほぼ全ての論点をカバーしているので上級者のまとめ用としても使える。A5判、420頁。 勅使川原和彦『読解民事訴訟法』有斐閣(2015年2月)……A5判、350頁。(評価待ち。) 伊藤眞・山本和彦『民事訴訟法の争点(新・法律学の争点シリーズ4)』有斐閣(2009年3月)……シンプルな論点集。網羅性は高いが、紙幅の関係かやや舌足らずな解説も見られる。B5判、276頁。 伊藤眞・加藤新太郎・山本和彦『民事訴訟法の論争』有斐閣(2007年7月)……民事訴訟法の重要論点を対談形式で進めていく。学説の整理、学会の最新の議論などに秀でる。A5判、272頁。 田中豊『民事訴訟の基本原理と要件事実』民事法研究会(2011年1月)……A5判、424頁。 小林秀之『ケースでわかる民事訴訟法』日本評論社(2014年9月)……重要な判例をベースにした具体的なケース(事例)に基づいて、民事訴訟の重要な分野・論点を解説している基本書兼問題集である。文章も読みやすく、かつ論理的であり、「鉄腕アトム」とも評される著者の能力の高さをうかがい知ることができる。判例百選に掲載されている判例が、具体的な事例とともにほぼ網羅されていることから、近時の司法試験の傾向に合致した本であり、お薦めである。A5判、488頁。 小林秀之『事例分析ゼミ 民事訴訟法』法学書院(2007年12月)……受験新報連載を単行本化。優秀な大学生の男女、努力家の大学院生、若手渉外弁護士、4人のゼミ生による小林ゼミ(という設定)。レベルはかなり高い。A5判、256頁。 新堂幸治編『特別講義民事訴訟法』有斐閣(1988年2月)……理論民事訴訟法学の最重要文献の一つ。法学教室の連載であったが、内容は超高度であるから、気分転換やある論点について知識を深化させたい時ぐらいしか読むべきではない。内田貴、加藤雅信の論稿は、それぞれの民法学を理解するためには必見。OD版により復刊(2009年10月)。A5判、500頁。 【旧法】谷口安平『口述民事訴訟法』成文堂(1987年12月)……口述法律学シリーズの傑作。著者は元京大教授、「コップの中の嵐」で知られる大御所。臨場感あふれる軽妙な語り口で、分かりやすく、かつユーモラスに民訴を解きほぐす。普通の基本書はあまり触れないようなことが丹念に述べられており、非常に示唆的である。旧法下の本だが、本書の大部分は、法改正にほとんど関係ない総論部分にあてられているため、既に一通り勉強した学生が参考書として通読ないし拾い読みをしていけば、立体的な民訴の理解に到達できるだろう。A5判、518頁。 【入門書・概説書】 木山泰嗣『小説で読む民事訴訟法 基礎からわかる民事訴訟法の手引き』『同2 より深く民事訴訟法を知るために』法学書院(2008年4月、2012年12月)……小説形式で民事訴訟法・民事裁判を学ぼうという意欲作。現在最も適切な入門書。寝転がって気楽に読める。基本書を読んでもイマイチわからなかった点が、スッキリと理解できる。学習効果抜群の良書。A5判、304頁・296頁。 中野貞一郎『民事裁判入門』有斐閣(2012年4月・第3版補訂版)……入門書の定番。咀嚼された文章に定評があるが、それほど易しい本ではない。いくつかの論点については比較的高度な検討を加えており、意外と内容は深い。第3版では執行・保全の章が削除された代わりに管轄と家事事件の章が追加され、判決手続きに特化されることになった。もっとも、本書のみでは択一ですらおぼつかないところがあり、できるだけ早く通常サイズの基本書に移行するべきだろう。四六判、412頁。 山本和彦『よくわかる民事裁判 平凡吉訴訟日記(有斐閣選書)』有斐閣(2008年8月・第2版補訂)……平凡吉という主人公の人生が物語調に書かれている。賃貸借契約にかかる事例を用いて、民事裁判の始まりから終わりまで、小説を読む感覚で学ぶことができる。四六判、268頁。 司法研修所監修『民事訴訟第一審手続の解説-事件記録に基づいて』法曹会(2001年6月・4訂版)……司法研修所の民事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審民事訴訟手続を解説。手続法において重要な手続の流れをつかむのに最適。A5判、174頁。 林屋礼二・吉村徳重・中島弘雅・松尾卓憲『民事訴訟法入門(有斐閣双書)』有斐閣(2006年6月・第2版補訂版)……四六判、382頁。 山本和彦『ブリッジブック民事訴訟法入門(ブリッジブックシリーズ)』信山社(2011年3月)……四六判、280頁。 井上治典編『ブリッジブック民事訴訟法(ブリッジブックシリーズ)』信山社(2011年4月・第2版)……四六判、344頁。 池田辰夫編『アクチュアル民事訴訟法(アクチュアルシリーズ)』法律文化社(2012年9月)……A5判、298頁。 野村秀敏『法学民事訴訟法(信山社双書法学編)』信山社(2013年11月)……B6判、232頁。 原強『やさしい民事訴訟法』法学書院(2014年3月)……A5判、265頁。 安西明子・安達栄司・村上正子・畑宏樹『民事訴訟法(有斐閣ストゥディア)』有斐閣(2014年4月)……A5判、280頁。 裁判所職員総合研修所監修『民事訴訟法概説』司法協会(2014年5月・9訂版)……B5判、174頁(本文142頁)。 ☆和田吉弘『コンパクト版 基礎からわかる民事訴訟法』商事法務(2015年10月)……『基礎からわかる民事訴訟法』の概説書。A5判、214頁。 福永有利・井上治典著、中島弘雅・安西明子補訂『アクチュアル民事の訴訟』有斐閣(2016年4月・補訂版)……「ものがたりふう」に進行する医療過誤事件の事例とともに、個々の手続や制度がいかなる手続段階で問題になるかを把握し、裁判に関わる関係者の活動が裁判所の内外でどのように展開され訴訟が動いていくかを理解できる。A5判、218頁。 【コンメンタール】 秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法〔全7巻〕』日本評論社(I 2014/03・第2版追補版,II 2006/03・第2版、III 2008/06、IV 2010/12、V 2012/08、 VI 2014/09、☆VII 2016/04)……旧民事訴訟法下の定番コンメンタールであった菊井=村松『全訂民事訴訟法(全3巻)』の改訂版であり、実務家必携の詳細な注釈書。旧版の執筆者は裁判官が中心であったこともあり実務的に手堅い見解をとっている。少数執筆者による合議を経て執筆されているため、執筆部分につき匿名方式をとっている。第2版追補版で国際裁判管轄規定に対応。 高田裕成・三木浩一・山本克己・山本和彦・編『注釈民事訴訟法(有斐閣コンメンタール)〔全5巻〕(予定)』有斐閣(V 2015年12月)……第5巻(上訴・再審・手形小切手訴訟・少額訴訟・督促手続・執行停止 281条~405条):A5判、914頁。(評価待ち。) 兼子一原著・松浦馨ほか著『条解民事訴訟法』弘文堂(2011年4月・第2版)……上記コンメン民訴が実務家必携であるのに対し、こちらは研究者執筆(今回の改訂には裁判官も執筆者に参加しているが)にかかる理論的な解説も充実したアカデミックな(新訴訟物理論を支持していたりする)定評ある注釈書。1冊本だが本文1924頁(!)。山本和彦教授が本書の書評において、本書の採用する見解を論点ごとに短評しており参考になる(判タ1350号80頁)。ただし、数多くの間違いが指摘されている点に注意が必要である(出版社HPで訂正が公表されているが、それも全ての間違いがカバーされているわけではない)。A5判、2004頁。 賀集唱ほか『基本法コンメンタール民事訴訟法1-3』」日本評論社(1-3 2012年2月・第3版追補版)……改訂が比較的頻繁。実務的な細かい手続きの情報が充実しているのが特徴。本のサイズが大きく文字ポイントも小さいため学生には十分な情報量がある。第3版追補においては国際裁判管轄についての民訴法改正を逐条解説。日本評論社のHPにて追補部分をダウンロード可能。B5判、400頁・416頁・282頁。 笠井正俊・越山和広『新・コンメンタール民事訴訟法』日本評論社(2013年3月・第2版)……TKCで提供されているインターネットコンメンタールを紙媒体に印刷したもの。A5判、1320頁。(第2版は評価待ち。) 【判例集・ケースブック】 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編『民事訴訟法判例百選』有斐閣(☆2015年11月・第5版)……第4版から判例数を絞り、国際民事訴訟法に関する判例を割愛。競合の判例集が少ないこともあり、ほとんどが利用している。計117件ほかアペンディクス43件を収録。B5判、280頁。 ☆中島弘雅・岡伸浩『民事訴訟法判例インデックス』商事法務(2015年1月)……見開き2頁で、判例のエッセンスをビジュアルな図表を用いてコンパクトに整理するシリーズの「民事訴訟法」編。重要かつ不可欠な裁判例271個(249個)を収録。A5判、540頁。 小林秀之編『判例講義 民事訴訟法』悠々社(2016年5月・第3版)…第3版は、新判例23件を補訂し、223件の判例を収録。判例数は多く、テーマごとに同一著者が評釈している点が特徴。AB判、356頁。 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『基本判例民事訴訟法』有斐閣(2010年9月・第2版補訂)……Sシリーズ著者による判例集。判例解説なし。四六判、548頁。 小川英明・長秀之・宗宮英俊編著『民事訴訟法主要判例集』商事法務(2009年8月)……裁判官(及び元裁判官)が編集した判例集。条文順の並びで判例解説はなく、判例収録数は驚きの604件(そのほとんどが大審院および最高裁の判例)。A5判、521頁。 三木浩一・山本和彦編『ロースクール民事訴訟法』有斐閣(2014年3月・第4版)……独習には向かないが良問が揃っている。【資料】欄に掲載されている文献は高橋『重点講義』その他の書籍でも採り上げられているものが多く、基本かつ重要な文献が掲載されている(ただし、内容的には高度なものも含まれている)。B5変型判、672頁。 長谷部由起子他『ケースブック民事訴訟法』弘文堂(2013年3月・第4版)……判例を分析するタイプの問題が多い。評判はよくない。ロースクール民事訴訟法とかぶっているところも多々あり。A5判、552頁。 【演習書】 長谷部由起子ほか『基礎演習民事訴訟法』弘文堂(2013年3月・第2版)……執筆陣は東大系の若手研究者を中心とする30名。それぞれが得意分野を担当しており、やや学説チックな嫌いはあるものの、概ね学習者向けの良質な論点解説集となっている。基礎演習と銘打たれ、はしがきにも学部生や未修者向けの演習書と書かれているが、骨の折れる問題も散見され、易しい問題ばかりではないため、中級者以上であっても、本書から得るところは大きいであろう。解析民訴やライブ本に取り組む前の橋渡しとして、多くの学生にとって有益な一冊と言えるであろう。A5判、376頁。 山本和彦編著、安西明子・杉山悦子・畑宏樹・山田文著『Law Practice 民事訴訟法』商事法務(2014年3月・第2版)……A5判、398頁。 藤田広美『解析民事訴訟』東京大学出版会(2013年5月・第2版)……藤田『講義』の続編。こちらも口語体。通説以外の学説をスルーしすぎたきらいのある『講義』を補完。昭和24年度から平成20年度までの旧試論文問題に適宜寄り道して検討を加えながら、重点講義のように体系順に重要論点を解説している。全体としてかなり広い範囲をカバーしているが、掘り下げは受験レベルとしてもやや物足りない。旧試過去問のうち、事例問題の中には数頁を費やして解説されているものもあるが、一行問題の多くはほとんど、あるいは全く解説が付いていない(もっとも、新司において一行問題が出題される可能性はまず無いと思われるが、気になる人は他の文献に当たることを勧める)。そもそも過去問の解説は答案作成を想定したものになっておらず、演習書と言うよりは教科書に近い。A5判、616頁。 杉山悦子『民事訴訟法 重要問題とその解法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2014年3月)……A5判、280頁。 和田吉弘『旧司法試験 論文本試験過去問 民事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年4月)……元判事の教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。LIVE本として受験生に広く知られた存在となっている。辰巳作成解答例・講師レジュメ・問題解説・解答例の検討からなる。旧司法試験受験生向けの講義のため、基本的に引用文献を伊藤・双書・新堂・上田等の代表的体系書と重点講義・百選(第3版)に抑えて解説している。分厚いが、講義録なので口語体で読みやすく、わかりやすい。理論水準も藤田・解析より安定しており、信頼できる。新版は平成16年度の問題まで収録しており、全40問。絶版だったが2008年に万能書店からオンデマンド版で復刊された。16年改正対応。 和田吉弘『司法試験論文過去問LIVE解説講義本 和田吉弘民訴法(新Professorシリーズ)』辰已法律研究所(2014年8月)……司法試験民事訴訟法の論文過去問解説講義書。平成18年から25年までの過去問について、解説。また、各年度の上位合格者の再現答案を取り上げ、内容を検討している。A5判、頁。 井上治典『実践民事訴訟法』有斐閣(2002年3月)……理論的に高度な論点も平易な記述で論文試験に活かせられるように解説。ロースクール民事訴訟法が手軽になったものと考えてもよい。なお、著者が故人のため改訂は見込めない。A5判、242頁。 遠藤賢治『事例演習民事訴訟法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2013年2月・第3版)……法学教室の「演習」連載の単行本化。全30問。著者は最高裁調査官も経験した裁判官出身のロースクール教員。初~中級向けの事例問題に丁寧な解説が付されている。有斐閣ロースクール民訴との相性が抜群なので(同書で問われている事項の基礎を本書でさらっていくことができる。)、ロースクールの授業で同書を使用している学生は、余力があれば並行して本書を使用してみるとよいだろう。A5判、354頁。 松村和徳・小田敬美・伊東俊明『民事訴訟法演習教材』成文堂(2012年6月)……A5判、292頁。 法曹会編『設題解説 民事訴訟法(二)』法曹会(2008年12月)……本書は、「法曹」第405号から第678号に連載された「法律研修講座(民事訴訟法)」に、若干の加筆補正をし、取りまとめられたもの。この設題解説は、民事訴訟法を体系的に叙述するものではなく、初学者がまず理解しておくべき民事訴訟法上の一般的、基本的と思われる問題を取り上げ、具体的事案に即して、おおむね判例、通説の立場から平易に解説。新書判、300頁。 飯倉一郎・加藤哲夫編『演習ノート 民事訴訟法』法学書院(2010年3月・第5版)……答案作成のポイントと書き方が把握できる演習書。単なる模範解答や論点の提示に止まらず、「答案構成」まで提示。司法試験をはじめ、弁理士試験、裁判所事務官採用試験などの各種試験で出題された問題を中心に民事訴訟法の基本的かつ重要な問題を、訴訟の主体・訴訟の開始・訴訟の客体・訴訟の審理・訴訟の終了・上訴に分類して体系的に配列し、111講を収録。A5判、264頁。 薮口康夫『ロースクール演習 民事訴訟法』法学書院(2015年3月)……長文事例問題30問。A5判、317頁。(評価待ち。)
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平成23年(2011年) ①[民事訴訟法]国際裁判管轄に関する規定(5月2日・法36)ほか ②[関連法]5月25日:(新)非訟事件手続法(法51)・家事事件手続法(法52)の成立 →平成23年12月30日現在、②に対応した基本書は伊藤眞の『民事訴訟法』第4版のみ。 【民事訴訟法】 〔基本書〕 ☆新堂幸司『新民事訴訟法』弘文堂(2011/08・第5版)……学界の到達点を示す最高水準の体系書。論理的かつ明快で、まことに示唆に富む。文章そのものは柔らかいが、その一文一文にとても深い意味が込められており、著者の問題意識や利益考量の手腕を味わいながら読み進めたい。具体例が豊富なので分かりやすいが、新堂説は結論の妥当性を柔軟に追求するものであり、いわゆる概念法学を好まない。それゆえ、かえって初学者にとっては取組みづらい内容となっている。第4版では訴訟承継等で改説。第5版では証明度について優越的蓋然性説を採用するなどの改説、一般条項における要件事実と証明責任について加筆等している。なお非訟事件手続法・家事事件手続法には非対応。 ☆伊藤眞『民事訴訟法』有斐閣(2011/12・第4版)……学者執筆の基本書としては珍しく旧訴訟物理論。はしがきには概説書とあるが、著者の見解がはっきりと打ち出されている本格派の体系書である。論点を網羅する、どちらかといえば広く薄いタイプ。全体として堅牢な体系と穏当な解釈が特徴だが、脚註で少数説がサラッと書いてあることもあり、「新司は実務家登用試験だから旧訴訟物理論の本書だけで十分!」といった安易な読み方はするべきではない、というか、できない。文章も硬く、内容もかなり難解な上、さまざまな法律用語が説明もなしに出てくるため、初学者にはまったく向かない。 中野・松浦・鈴木編『新民事訴訟法講義』有斐閣大学双書(2008/05・第2版補訂2版)……各分野における第一線の教授陣による共著の概説書。執筆者の面々を見るだけで一貫性に限界があるように思われるが、各人が得意分野を担当していることもあり、意外なほど使い勝手は良い。基本的には新訴訟物理論の立場ではあるが、当然のことながら旧訴訟物理論もきちんと解説しているし、そもそも新説に立とうが結論に大きな差が生じないのが近年の傾向であるから、それほど気にする必要はない。論点も豊富に取り上げられており、その解説も秀逸。ただし初学者向けではないので、先に入門書や簡単な概説書を読んでおくとよい。また、執筆者によって文体と脚注の使い方が著しく異なるため、一冊の本としての統一性を求める読者には不向きである。いずれにせよ、ロースクール生にとって無難な選択であるのは確か。はしがきにある「最良の基準書」との称号は言い得て妙。なお、藤田広美『講義民事訴訟』との相性がよいとの声がある。 松本博之・上野泰男『民事訴訟法』弘文堂(2010/10・第6版)……新訴訟物理論(二分肢説)。共著とは言え、執筆者は2名であり、言葉の定義にぶれはなく、クロスリファレンスも比較的充実している。もっとも、一冊の本として一貫しているかと言うと、たとえば予備的相殺の抗弁と不利益変更禁止の原則に関する論点では両名の見解が正面衝突している。また、上野執筆部分の注釈などを読んでいると、他にも微妙な見解の相違は少なくないようだ。単に松本執筆部分が多いから一貫性の欠如があまり表面化していないだけであろう。松本教授の執筆する単純訴訟の第1審手続の部分と、上野教授の執筆する複雑訴訟および上訴の部分では、書きぶりがまったく異なるので、以下では分けて説明する。まず、松本執筆部分について言うと、少数説が非常に多い。そうした論点では判例・通説は丁寧に語られず、結論のみか、理由があっても一、二行といった状態である。「学説整理に定評あり」とも言われるが、3つ以上の学説を詳細に比較検討している個所は稀であり、予備校本のような役割はまったく期待することができない。松本教授の興味関心に応じて記述にムラがあるほか、細かな論点においてある見解を採用する根拠を他の著作や研究論文に丸投げしている箇所もちらほらある。学生に向けて条文や制度の趣旨を丁寧に解説する、いわゆる教科書としての性格は薄い。文章も分かりにくく、学生にとってはあまり使い勝手の良くない本である。他方、定義がしっかりしている上に、テクニカルタームの用法には細心の注意が払われており、記述は精密である。少数説であっても、百選での引用頻度は新堂・高橋・伊藤などにも引けを取らない。章立てや概念整理も明確であり、松本説自体も利益考量を嫌う体系志向が強いものである。総じて、上級者にとっては満足のいく一冊となるだろう。次に上野執筆部分について説明する。上野教授(民訴の天才とも、破壊神とも)の執筆する複雑訴訟および上訴の部分は、思考の整理が行き届いており、文章が分かりやすく、判例や多数説をきっちり踏まえた内容となっており、非常に読みやすい。結論として少数説を採る箇所もあるが、そうした箇所で少数説に深々と立ち入るのは避けている(教科書としての分をわきまえている)。難しい議論は文字のポイントを落とすなど、記述にメリハリがあり、制度趣旨の説明も丁寧で、学生向け教科書としても出色の完成度である。これらの分野が苦手で、手持ちの教科書を読んでも今一つ理解できないという学生は、図書館等で上野執筆部分をじっくり読んでみると良いだろう。なお、上野教授は本書について「本当は20000円で売りたいくらいの価値があるが、弘文堂に断られた。」と述べている。改訂は頻繁で、今般の法改正に応じた改訂も速やかに行われると見込まれる。 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『民事訴訟法』有斐閣S(2009/04・第6版)……新訴訟物理論。薄くて通読向き。学説の対立にはあまり分け入らず、判例の紹介は多いがほんの数行程度であり、単に問題提起をしただけで終わってしまっているような個所も散見される。文書もSシリーズにしては硬く、初学者は本書のみではどうにもならないだろう。上級者のまとめ用としてなら便利か。 山本弘・長谷部由起子・松下淳一『民事訴訟法』有斐閣アルマ(2009/03)……「手続の時系列に則し、手続の主体である原告、被告および裁判所の手続の節目ごとの行動規範を明らかにする構成(はしがき)」を採用。多数当事者訴訟の項目を設けず、手続内で随時説明を加える構成が目を引く。見解は通説ベースながら、最新の学説にも適宜触れており、薄いように見えて重要な論点は意外なほどきちんと拾っている。近時の民訴のテキストにしてはかなり文章が分かりやすく、言葉の定義はしっかりしている。反面、掘り下げ方はやや足りない傾向にある。クロスリファレンスを徹底しているのが学習者には嬉しいところ。 ☆高橋宏志『重点講義民事訴訟法上下』有斐閣(2011/12・第2版,2010/03・補訂第2版)……2分冊。いわゆる重要論点の数々を取り上げて深く論じている。体系書ではないため純制度的・手続的知識には触れていないが、学界で争いのある論点についての網羅性は極めて高く、分厚い体系書でさえ一言も触れていないような細かな論点であっても脚注などで拾い上げて、それなりに論及していることが多い。まさに広さと深さとを両立した本。ロースクールの授業では必須のアイテムだと思われるが、受験対策としてここまでやるべきなのかどうかという点については異論も見られる。判例索引がないのが玉に瑕(上巻の第2版に付くようになった)。※法教355号(2010年4月号)から連載再開中。 〔基本書(その他)〕 上田徹一郎『民事訴訟法』法学書院(☆2011/06・第7版)……基本事項を網羅的かつ丁寧に解説する教科書。縦書き。教育的配慮から基本部分と応用部分を本文と脚注に2分して解説する独特のスタイルをとっている。自説主張が弱く、判例・学説の発展の経緯が丁寧に書かれている一方、最新の議論についてはやや弱い面がある。かつては受験生トップシェアだったが、伊藤や講義案のシェアが増加する一方、本書を利用する学生は減少傾向にある。だが、教育効果の高い良書であることに変わりはないので、民訴が苦手な人や初学者は試す価値がある。著者高齢のため第6版・第7版の改訂は上田教授の意向を受けた稲葉教授が行った。本文に変更はほとんどなく、稲葉教授が論点を補充したほか、新判例や新立法のみを巻末にまとめて追加しただけの、やや残念な改訂となっている。 総研『民事訴訟法講義案』司法協会(2010/06・再訂補訂版)……実務説(旧訴訟物理論)。掲載されている論点が豊富。ただし試験に関係ない記述も多数。淡白。 藤田広美『講義民事訴訟』東京大学出版会(2011/04・第2版)……総研本著者による話題の新著。民事訴訟法の体系書ではなく、民事訴訟実務の手続きをコンパクトにまとめたマニュアル本。『民事訴訟実務の基礎』などに近い。たまに論点を取り上げて独自の考察をしているが、おおむね学説の対立には分け入らない傾向にあり、実務上定着している論点はほとんど所与のものとして扱っている(たとえば訴訟物論争についても完全にスルー。)。前半部分で要件事実についても多くの頁を割いて解説しているため,内容が薄いとの声もある。もっとも「新試にはこの一冊で充分」などと言われることもあり、賛否両論あるところだろう。はしがきやあとがきを見ると、本書が民訴の初学者に向けて書かれたものであるということは明らかだが、民法・民訴・要件事実について一通り知識がないと読みこなせないとの評価もある。第2版では手形訴訟手続・簡易裁判所手続・上訴などの記述を補充し,頁数がかなり増えた。 林屋礼二『新民事訴訟法概要』有斐閣(2004/09・第2版)……読みやすく、かつ分かりやすい。中小サイズの体系書にありがちな論理の飛躍を徹底的に排除しており、読者に行間を読ませない。いわゆる論点落ちもあるが、厚い所は意外なほど厚い。全体を通じてベースはあくまで判例・通説で、それらを紹介した後に、必要に応じて新しい有力説も取り上げる。基礎理論についての判例・学説の変遷を時系列順に説明するため、読者はなぜそれが問題になっているのかを把握しながら、自然と現時点の学説状況に追いつくことができる。16年改正対応。2010年4月よりオンデマンド版を有斐閣HPから購入することができるようになった。 ☆三谷忠之『民事訴訟法講義』成文堂(2011/07・第3版)……薄め。判例重視。15年改正対応(第2版)。第3版は評価待ち。 河野正憲『民事訴訟法』有斐閣(2009/05)……横書き900頁超。概して重たい傾向にある民訴の基本書の中でもひときわボリュームが大きい。判決文を頻繁に,かつ長めに引用している点に特色があるが,その分,論点に対する解説は頁数の割に薄くなってしまっており,意外と使いにくい。 ☆小林秀之・原強『民事訴訟法(論点講義シリーズ8)』弘文堂(2011/07・第4版)......国際裁判管轄規定に対応。 納谷廣美『講義民事訴訟法』創成社(2004/06)……読み易くコンパクト。実務も重視。演習書『演習民事訴訟法』創成社(2005/02)と対をなす。 梅本吉彦『民事訴訟法』信山社(2009/04・第4版)……分厚い文字どおりの体系書。改訂頻繁だが、はしがきを読むとなんか許せてしまう。 岡伸浩『民事訴訟法の基礎』法学書院(2008/09・第2版)……弁護士の著作。読みやすく、判例の紹介も詳細。 伊藤眞・山本和彦『民事訴訟法の争点』有斐閣(2009/03)……シンプルな論点集。網羅性は高いが、やや舌足らずな解説も見られる。 【旧法】兼子一・竹下守夫『民事訴訟法』弘文堂(1993/07・新版)……旧通説。2008年10月にOD版として復活。新民訴法不対応だが、簡明に伝統的通説を示した本書(全体で300頁ほどしかない)が改訂されることなく消えていくのは、惜しまれてならない。 【旧法】谷口安平『口述民事訴訟法』成文堂(1987/12)……口述法律学シリーズの傑作。著者は元京大教授、「コップの中の嵐」で知られる大御所。臨場感あふれる軽妙な語り口で、分かりやすく、かつユーモラスに民訴を解きほぐす。普通の基本書はあまり触れないようなことが丹念に述べられており、非常に示唆的である。旧法下の本だが、本書の大部分は、法改正にほとんど関係ない総論部分にあてられているため、既に一通り勉強した学生が参考書として通読ないし拾い読みをしていけば、立体的な民訴の理解に到達できるだろう。 〔入門書〕 木山泰嗣『小説で読む民事訴訟法』法学書院(2008/04)……小説形式で民事訴訟法・民事裁判を学ぼうという意欲作。寝転がって気楽に読める。基本書を読んでもイマイチわからなかった点が、スッキリと理解できる。学習効果抜群の良書。 中野貞一郎『民事裁判入門』有斐閣(2010/04・第3版)……入門書の定番。咀嚼された文章に定評があるが、それほど易しい本ではない。いくつかの論点については比較的高度な検討を加えており、意外と内容は深い。第3版では執行・保全の章が削除された代わりに管轄と家事事件の章が追加され、判決手続きに特化されることになった。もっとも、本書のみでは択一ですらおぼつかないところがあり、できるだけ早く通常サイズの基本書に移行するべきだろう。 山本和彦『よくわかる民事裁判』有斐閣(2008/08・第2版補訂)……平凡吉という主人公の人生が物語調に書かれている。賃貸借契約にかかる事例を用いて、民事裁判の始まりから終わりまで、小説を読む感覚で学ぶことができる。 司法研修所監修『民事訴訟第一審手続の解説-事件記録に基づいて』法曹会(2001/06・4訂版)……司法研修所の民事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審民事訴訟手続を解説。手続法において重要な手続の流れをつかむのに最適。 〔判例集〕 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編『民事訴訟法判例百選』有斐閣(2010/10・第4版)……7年ぶりの改定。判例数をさらに絞って国際民事訴訟法に関する判例を割愛。競合の判例集が少ないこともあり、ほぼ皆が利用している 小林秀之編『判例講義 民事訴訟法』悠々社(2010/09・第2版)…205の判例を収録。判例数は多く、テーマごとに同一著者が評釈している点が特徴。 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『基本判例民事訴訟法』有斐閣(2010/09・第2版補訂)……Sシリーズ著者による判例集。判例解説なし。 小川英明・長秀之・宗宮英俊編著『民事訴訟法主要判例集』商事法務(2009/08)……裁判官(及び元裁判官)が編集した判例集。条文順の並びで判例解説はなく、判例収録数は驚きの604件(そのほとんどが大審院および最高裁の判例)。 三木浩一・山本和彦編『ロースクール民事訴訟法』有斐閣(2010/03・第3版補訂)……授業以外では使わない本。独習には向かない。 長谷部由起子他『ケースブック民事訴訟法』弘文堂(2010/03・第3版) 〔注釈書〕 秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法I・II・III・IV』日本評論社(I・2006/04・第2版,II・2006/03・第2版,III・2008/06,IV・2010/12)……旧民事訴訟法下の定番コンメンタールであった菊井=村松『全訂民事訴訟法(全3巻)』の改訂版であり、実務家必携の詳細な注釈書。現時点での刊行は242条まで。旧版の執筆者は裁判官が中心であったこともあり実務的に手堅い見解をとっている。少数執筆者による合議を経て執筆されているため、執筆部分につき匿名方式をとっている。 兼子一原著・松浦馨ほか著『条解民事訴訟法』弘文堂(2011/04・第2版)……上記コンメン民訴が実務家必携であるのに対し、こちらは研究者執筆(今回の改訂には裁判官も執筆者に参加しているが)にかかる理論的な解説も充実したアカデミックな(新訴訟物理論を支持していたりする)定評ある注釈書。1冊本だが本文1924頁(!)。山本和彦教授が本書の書評において、本書の採用する見解を論点ごとに短評しており参考になる(判タ1350号80頁)。 秋山幹夫ほか『基本法コンメンタール民事訴訟法1・2・3』」日本評論社(1・2006/03・第3版,2・2008/01・第3版,3・2007/09・第3版)……改訂が比較的頻繁。実務的な細かい手続きの情報が充実しているのが特徴。本のサイズが大きく文字ポイントも小さいため学生には十分な情報量がある。 笠井正俊・越山和広『新・コンメンタール民事訴訟法』日本評論社(2010/12)……TKCで提供されているインターネットコンメンタールを紙媒体に印刷したもの。頁数は1264頁と多いが、結構空白が多く文字ポイントも大きいので情報量はわりと少なめである。もっとも、短答対策には十分である。 〔演習書〕 長谷部由起子ほか『基礎演習民事訴訟法』弘文堂(2010/04)……執筆陣は東大卒の若手研究者を中心とする30名で,おのおのが得意分野を担当しており,学習者向けの良質な論点解説集となっている。はしがきには学部生や未修者向けの演習書と書かれているが,決して易しい問題ばかりという訳ではない。解析民訴やライブ本に取り組む前の橋渡しとして,多くの学生にとって有益な一冊と言えるだろう。 藤田広美『解析民事訴訟』東京大学出版会(2009/02)……藤田『講義』の続編。こちらも口語体。通説以外の学説をスルーしすぎたきらいのある『講義』を補完。昭和24年度から平成20年度までの旧試論文問題に適宜寄り道して検討を加えながら、重点講義のように体系順に重要論点を解説している。全体としてかなり広い範囲をカバーしているが、掘り下げは受験レベルとしてもやや物足りない。旧試過去問のうち、事例問題の中には数頁を費やして解説されているものもあるが、一行問題の多くはほとんど、あるいは全く解説が付いていない。そもそも過去問の解説は答案作成を想定したものになっておらず、演習書と言うよりは教科書に近い。初刷は誤記・誤植多数のため、東大出版会HPで長大な訂正一覧が発表されている。必ず第2刷以降を買うべきである。 和田吉弘『司法試験論文本試験過去問 民事訴訟法』辰巳法律研究所(2005/04)……元判事の教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。いわゆるライブ本。辰巳作成解答例・講師レジュメ・問題解説・解答例の検討からなる。旧司法試験受験生向けの講義のため、基本的に引用文献を伊藤・双書・新堂・上田等の代表的体系書と重点講義・百選(第3版)に抑えて解説している。分厚いが要するに講義録なので読みやすく、わかりやすい。新版は平成16年度の問題まで収録しており,全40問。絶版だったが2008年に万能書店からオンデマンド版で復刊された。16年改正対応。復刊後、万能書店の全書籍売れ筋ランキングでほとんどの期間を通じて1位を維持している(2011年6月12日現在)。 遠藤賢治『事例演習民事訴訟法』有斐閣(2008/10、2011/03改訂予定)……法学教室の「演習」連載の単行本化。著者は判事出身のロースクール教員。初~中級向けの事例問題と丁寧な解説。何気に有斐閣ロースクール民訴との相性が抜群なので(同書で問われている事項の基礎を本書でさらっていくことができる。)、ロースクールの授業で同書を使用している学生は、余力があれば並行して本書を使用してみるとよいだろう。独習でガンガンいける。 小林秀之『プロブレム・メソッド新民事訴訟法』判例タイムズ社(1999/08・補訂版)……判例の事案を中心に学べる本。 結構面白い。後継本として『ケースで学ぶ民事訴訟法』日本評論社(2008/04・第2版)。 小林秀之『事例分析ゼミ 民事訴訟法』法学書院(2007/12)……受験新報連載を単行本化。優秀な大学生の男女、努力家の大学院生、若手渉外弁護士、4人のゼミ生による小林ゼミ(という設定)。レベルはかなり高い。 〔その他〕 伊藤眞・加藤新太郎・山本和彦『民事訴訟法の論争』有斐閣(2007/07)……民事訴訟法の重要論点を対談形式で進めていく。学説の整理、学会の最新の議論などに秀でる。 【民事執行・民事保全】 〔基本書・入門書〕 和田吉弘『基礎からわかる民事執行法・民事保全法』弘文堂(2010/04)……図表を駆使し、簡潔明瞭な文章で徹底的に分かりやすさを追求した学生向け入門書の決定版。学習のはじめに間違いのない一冊である。その分中身は薄いが、学部やロースクールの定期試験なら本書を数回通読するだけでも乗り切れるだろう。 中野貞一郎『民事執行・保全入門』有斐閣(2010/04)……民事手続法の第一人者による入門書。好著『民事裁判入門』の姉妹版であり、同様のコンセプトに立つ。適度にくだけた文章により分かりやすく解説する。和田・基礎よりも内容は充実しているが、標準的な概説書と比べるとやはり多少の物足りなさもある。 中西正・中島弘雅・八田卓也『リーガルクエスト 民事執行法・民事保全法』有斐閣(2010/01)……スタンダードな民事執行法・民事保全法のテキスト。記述に安定感はあるが、リーガルクエストシリーズらしく発展的な知識も随所にちりばめられている。民法・民事訴訟法の知識があるのは当然の前提としているため初学者には向かない。和田・基礎や中野・入門などを経てから取り組むべき本である。 生熊長幸『わかりやすい民事執行法・民事保全法』成文堂(2006/10)……本文そのものは条文の引き写しに終始したいささか無味乾燥なものとなっているが、理解を助ける図表や実際の書面のサンプル、読者の興味を惹くコラムなどが随所に散りばめられており、学生向けの教科書を強く意識した作りとなっている。レジュメ調の構成はやや好みが分かれるところであろう。著者が専門とする担保物権とのつながりも強く意識されている。 ☆上原敏夫他『民事執行・保全法』有斐閣アルマ(2011/03・第3版)……入門書と概説書を兼ねた一品。コラムも面白い。 ☆福永有利『民事執行法・民事保全法』有斐閣(2011/03・第2版)……名著である山木戸克己『民事執行・保全法』(1999/05)の叙述を利用しつつ(はしがきで明記されている)、現行法に即して書き下ろされた、民事執行法の大家の手による教科書。自説は抑え気味。文章は平明で、注も少なく読みやすい。発展的な内容はコラムに回されている。一冊だけ読むならコレ。2版の改訂箇所は判例の追加、ゴシック体への変更などごくわずか。 中野貞一郎編『民事執行・保全法概説』有斐閣双書(2006/06・第3版)……おそろしく豪華な執筆陣による概説書。平均年齢の高さもあってか文章は硬くて平板。図表の類も少なく、意外とボリュームもあるため、初学者が手を出すと失敗するタイプの本。 藤田広美『民事執行・保全』羽鳥書店(2010/4)…… 〔体系書・実務書〕 中野貞一郎『民事執行法』青林書院(2010/10・増補新訂6版)……民事手続法の第一人者による決定版。まさに孤高の体系書。 瀬木比呂志『民事保全法』判例タイムズ社(2009/01・第3版)……民事保全の第一人者である現役裁判官による体系書。 須藤典明・深見敏正・金子直史『リーガル・プログレッシブ・シリーズ1民事保全』青林書院(2008/07・改訂版)……東京地裁保全部経験裁判官が同部の運用を解説した著書。 齊藤隆・飯塚宏編著『リーガル・プログレッシブ・シリーズ4民事執行』青林書院(2009/01)……東京地裁民事第21部(執行部)経験裁判官による民事執行の概説書。 〔注釈書〕 浦野雄幸編『基本法コンメンタール 民事執行法』日本評論社(2009/09・第6版)……実務必携の詳細な注釈書。平成20年改正まで対応。他に新しい注釈書がないためか、実務家向けの分厚い本になっている。学生は図書館で参照すれば十分である。
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刑事訴訟法 平成11(1999)年 通信傍受法成立。 平成12(2000)年 大幅改正&犯罪被害者保護法成立。 平成16(2004)年 裁判員制度、被疑者国選弁護制度他。 平成17(2005)年 即決裁判手続き他。 平成19(2007)年 被害者参加制度、損害賠償命令他。 平成22(2010)年 公訴時効改正。 平成23(2011)年 記録付差押え命令等。 〔メジャー・平成19年改正対応〕 田口守一『刑事訴訟法』弘文堂(2012年3月・第6版)……第5版から横書き・脚注付きに変更。第3版まではコンパクトな記述が特徴 だったが、現在では通常の教科書と変わらない厚さになっている。理論的な深みはなく論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説している という意味で(受験的)良書である。判例の引用数も多い。試験頻出の論点についても記述が薄いため、本書を基本書として利用する場合は判例集や演習書での 勉強が特に重要となる。旧司法試験の頃から変わらずシェアNo.1の基本書である。 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2012年2月・第4版)……ほぼ全面的に捜査実務を肯定する立場。国民全体の利益を最大化 する刑事訴訟法解釈という独自の視点で書かれている。判例を豊富に取り上げているため初学者が手を出しやすいが、実は判例の分析も独自色が強く荒っぽいた め、本書の記述を「判例」と考えて依拠するのはやや危険ではある。 白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2012年9月・第7版)……田宮孫弟子。平易な記述でコンパクトにまとめてある。判例や法解釈について的確 に検討しているほか、刑事訴訟法の運用の歴史や実務の現状についての記述が比較的充実している。自説は徹底して被疑者寄りだが、判例・通説・実務の現状や 原理原則をしっかり踏まえた上での展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。田宮とは相性が良い。 ☆上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2012年12月・第3版)……著者は「はしがき」で司法試験受験生用の教科書として執筆したことを明言してい る。「迷宮」となりやすい、訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力等では、基礎から詳述。確実に理解する方法を示す。碩学が受験生向けに基礎からみっ ちり説いた親切な本である。田口に不満を覚える学生を中心に、近時シェアを伸ばしつつある。他に『有斐閣Sシリーズ』(2006年4月)有斐閣、『基礎演 習刑事訴訟法』有斐閣(1996年4月) 総研『刑事訴訟法講義案』司法協会(2011年5月・4訂版)……裁判所職員総合研修所監修。実務寄り。条文、定義、手続を淡々と説明。証拠法には定評があるが、捜査が薄い(3訂版)。4訂版は評価待ち。 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法』有斐閣アルマ(2008年4月・第3版)……基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクト に穏当な見解でまとめている。記述が平板なので本書のみでの理解は困難だが、最初の一冊として最適。有斐閣ケースブックや『演習刑事訴訟法』などの発展学 習へのつながりも良い。近時シェアを伸ばしてきている。現在改訂作業中(2012年秋発売予定とのこと)。 渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2011年3月・補訂版)……刑事弁護士による司法試験受験生向けの本。基本事項・重要論点の解説・系統立てが丁 寧で、人気が出始めている。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのが吉。重要論点を摘出して解説したも のとして『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・2版)。田口と同門(西原門下)。 ☆宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『刑事訴訟法』有斐閣リーガルクエスト(2012年12月)……京大(鈴木茂嗣)門下による共著テキスト。といって も特異な見解をとっているわけではなく、判例・通説をそつなく紹介しており、判例分析も詳しい。重要41判例の要旨を掲載しているのも特徴。全体の分量が 増えすぎることのないよう削らなければならなかった記述も少なくない(はしがき)とのことであり、情報量は詳細な体系書には劣るが有斐閣アルマの上位互換 として今後人気となるかもしれない。捜査・公訴・証拠パートは詳しいがその他の手続の記述はそれほど厚くないのでコンメンタールを併用するとよいだろう。 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19)」(法学教室連載・283号~306号)……東大系(松尾弟子)・京大教授・司法 試験考査委員。捜査法・訴因論の重要論点について近時の理論を学生向けに説明。「酒巻連載」と呼ばれ受験生に広まりつつある。証拠法は殆どない。各回の目 次など→酒巻連載 〔マイナー・平成19年改正対応〕 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2008年12月・第2版)……「学者の書いた予備校本」との評価と、「理論的でアカデミック」との評価 が混在している。論点・学説が豊富に取り上げられている。また、他の基本書においてはあまり取り上げられる事のない論点やその意義について、生徒と教授と いう設定でダイアローグ演習形式によって詳しく解説しているのが特徴である。取調べ受認義務についての記述は難解(一般的には肯定説といわれるものを否定 説としている)。 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2009年5月・第4版)……非常にわかりやく、よみやすい叙述であり、判例の正確な紹介と批判、学説の位 置づけの的確さ等に定評がある。またバランスのとれた解釈なので、試験的には使いやすくはある。以下、著書多数。『刑事訴訟法』有斐閣プリマ(2009年 4 月・第6版)、『刑事訴訟法学入門』成文堂(2002年4月・第3版)、『刑事法学入門』法律文化社(2004年2・第2版月)『ベーシックマスター刑事 訴訟法』法律文化社(2009年6月) 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…反実務説・反多数説を求めるならば渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系・用語法および文章が難解なため普通の受験生には不向きだが、司法試験合格後などに是非読んでおきたい名著。 安富潔『刑事訴訟法』三省堂(2009年1月)……文字どおり研究者が書いたシケタイ。B5サイズで1冊で判例もカバーするというコンセプトまで 同じ。情報量が多いため辞書として使用できるが(はしがきによれば、修習生や若手弁護士も読者として意識しているとのこと)、初学者には不向き。増刷の際 に改訂頻繁。著者は他にも演習書の著書多数あり。概説書として『刑事訴訟法講義』慶應大学出版会(2007年6月) 平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月,2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ」と読む。旧著『捜査法』の改訂 版ではなく全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習向けテキスト。旧著よりもページ数がグッと減ったが内容の密度は増した。ついでに文字のポイン トの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』成文堂(2000年4月・第2版)……総研との組合せで用いると良いとの声あり)。 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という志の低い帯がついている。 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2012年3月・第2版)……元最高検検事による教科書。検察よりの立場。捜査法が詳しい。 〔その他参考書〕 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』(創文社、7訂版、1967年)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された 初版は実務家に広く受け容れられるところとなり、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今なお團藤説(権力分立・適 正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残してい ると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なりもはや学界で支持されることは殆どないが、平野説と並び、殆どの文献における 記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献であることに間違いはない、名著。 平野龍一『刑事訴訟法』(有斐閣、1958年12月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月・民訴と並び有名であり、かつ人気のある一冊。きわめて アメリカ寄りの体系に立って團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の出 発点となった。團藤・上掲書と並び称される名著である。訴因論などは今でも一読の価値があるだろう。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事 訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年)もあるが、平野説に触れたい場合にはより詳細な全集を読むべきであろう。 松尾浩也『刑事訴訟法上下』弘文堂(上1999年11月・新版,下1999年3月・新版補正2版)……東大の指定教科書。2冊組。著者は「精密司 法」という用語の発案者であり、ここからも伺える通り、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、また、アメリカ寄りにもなっておらず、本書の内容は日本の 刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに、ぐるぐるとらせん状に手続過程をたどっ ていくかたちになっている。網羅的で記述にムラがないが、その分、いわゆる重要論点も相対的に薄くなっている。文章は客観的かつ平易で極めて読みやすい が、かなり考えられて書かれているため、うかつに早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はない が、近年孤立を深めていく田宮と違い、新判例との親和性はおおむね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11および松尾上261頁以下を 見よ)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的にもっとも頼れる基本書は今なお本書であると言え、まだまだ現役で使える。2004年 までの法・規則改正に関する補遺は弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。現在改訂・合本中。 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつ わかりやすい記述が特徴。特に伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴だが、本書で は教科書という特性からわが国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務からかい離している訳ではない。1998年12月までの動向が補 訂され増刷されたものの著者は1999年1月に他界し、それ以後の新判例、法改正、論点については記述がなく、近時、急速な判例・立法の進展により、古典 としての性格を強めつつある。もっとも、2009年度新司1位合格者もアルマ刑訴の副読本として利用しているなど、根強い人気があるのも確か。 光藤景皎『刑事訴訟法I』『口述刑事訴訟法中、下』(2007年5月,2005年4月・補訂版,2005年11月)……名前の読みは「みつどう・ かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、詳しくなりすぎたため、上は「刑事訴訟法I」として改訂。中・下の改訂・合本は今のと ころ未定。旧試時代から証拠法分野には定評がある。 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。 石丸俊彦『刑事訴訟法』成文堂(1992年5月)……裁判官出身。判例ベースで判例引用多数。全体の半分弱を証拠関係が占める。 三井誠『刑事手続法(1)・2・3・(4未刊)』有斐閣(1997年6月・新版,2003年7月,2004年5月)……法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。 平野龍一=鬼塚 賢太郎=森岡茂=松尾浩也『刑事訴訟法教材』東大出版会(1977年9月)……小説立ての教科書。平野龍一がハーバード留学の折りにあちらの証拠法の教科 書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通して いるため非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習本としての機能も備えている。そもそも読み物 としても面白い。出版されてから大分経つが今なお亀井源太郎教授等が参考書として挙げている。 「刑訴三昧」……井上正仁教授の東大での講義が(無断)録音され講義録として出回った物。400頁に及び、刑訴全体が網羅されている。稀にインターネット上にアップロードされるのを見かけるが、今となっては内容は古い。 (刑訴法実務書) 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系 書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分実務の運用や判例の引用が 多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かな いが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。石丸、川上らの影響により、早稲田ローには本書を愛読する学生がちらほらいる。 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月~08)……一行問題~簡単な事例問題。かつて司法試験・二 回試験のタネ本といわれていた。捜査法など、新判例・法改正によって古くなってしまった部分も多々あるが、実務家の考え方を知ることの出来る良書。 ☆松尾浩也・岩瀬徹編『実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(2012年9月-11月)……上記新実例刑訴法の改訂版。法曹三者が最新の論点について解説。裁判員裁判、公判前整理手続等の法改正をふまえた解説となっている。司法修習生必携。 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。 ☆高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月,2013年1 月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2010年6月・平成21年版)…司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。 渡辺咲子『任意捜査の限界101問』立花書房(2010年8月・4訂)、三浦正晴・北岡克哉編著『令状請求の実際101問』立花書房(2002年2月・改訂)……実務家(捜査官)向けの捜査法のQ A集。任意捜査と強制捜査の実際を知るために。 〔入門書〕 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2008年9月・第5版)……元検察官の著者による入門書。197条から国民の捜査協力義務を導くなどたまに独特な記述もあるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調でわかりやすい。書式が豊富。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法』有斐閣S(2006年4月・第4版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。しかし、コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすくはない。 小林充『刑事訴訟法』立花書房(2009年4月・新訂版)……元刑事裁判官。 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2010年5月・第5版)……入門書の定番。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法』法律文化社(2007年11月) 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。 総研『刑事訴訟法概説』司法協会(2011年5月・3訂補訂版) 〔コンメンタール〕 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2009年12月・第4版)……実務必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で執筆し ているのが特徴(そのため実務の現状を肯定する記述がほとんどである)。第3版から実質6年ぶりの改訂となり、第3版増補版から168頁増量され、被害者 参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基 本的に省略しており、文字ポイントも小さいため情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解 釈を、丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば大いに力を発揮する。執筆 陣も豪華で信頼性が高く、価格の安い新基本法コンメンタールが出た現在でも、実務家が第一に参照するのは本書であろう。受験生が使うには、価格の面で新基 本法コンメンタールの方に分がある。弘文堂HPにてH22,23改正についての追補PDFをダウンロードできる。 三井誠ほか編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2011年7月)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆 者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されてい る。最高裁の刑事局課長も執筆者として重要条文を解説している。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が 対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計10箇所。全て弁護人の立場からの提言)。平成22年までの法改正に対応、平成23年改正については 改正条文(案)を掲示。『条解』に比べ、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。本書においては『条解』とほぼ同じ記述の箇 所が多々みられるが、これは本書(及び『条解』)が刑裁教官室、検察教官室の事実上の公式見解であることに由来すると思われる。 後藤昭・白取祐司『新・コンメンタール刑事訴訟法』(2010年7月)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。1184頁で条解(1272頁)の3分の1の価格が最大の売り。 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮先生が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となっては流石に古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。 〔判例集〕 井上正仁ほか編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2011年3月・第9版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされており,解説まで読み込むべきである。 三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2011年2月・第4版)……圧倒的掲載量。解説なし。 葛野尋之・中川孝博・渕野貴生編『判例学習・刑事訴訟法』法律文化社(2010年9月)……若手から中堅の研究者による判例教材。取り上げられた 判例は101件。これらの判例について、主に論点と結論→事実の概要→法の解釈→法の適用→コメントという順で書かれている。法の解釈・法の適用・コメン トは論文の際のあてはめに有効ではないかと思われる。 〔ケースブック〕 井上正仁他『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2009年9月・第3版)……設問は難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2008年4月・第2版) 加藤克佳他編『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版) 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というよりは判例集的な性格が強い。 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』信山社(2009年9月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うこと で判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケース ブックである。 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~不定期連載)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談 形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論と の勉強に有用。 〔演習〕 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2010年3月)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は似た問題が本試験でも 出るということで評判となっていた。設問はいずれも、近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説もおおむね穏当で参考になるが、ほとん どの設問で事案が判例そのままとなっているため、実戦訓練にはやや物足りないだろう。 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法』有斐閣(2005年7月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題の類が多く問題 集というよりも論点集に近いが、主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。一時期増刷されなくなりプレミアが ついていたが、1年余りの停止期間を経て再度増刷された。改訂の噂有り。 井田良=田口守一=植村立郎=河村博『事例研究刑事法2』(2010年9月)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした 執筆陣がかなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少なめだが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば広い範囲の論点をカバーでき る。上記の特徴を有する『演習刑事訴訟法』と比べると、本書の方がより実践的と言えるが、長文事例問題集というよりは中文事例問題集とでも言うべき水準 で,別の言い方をすれば、ロースクールの期末試験には出題されそうだが、司法試験には出題されそうにないといった類の問題が多い。実務家の解説は実践的で 役に立つ。 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解 説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版だったがオンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文を つけるスタイルは好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない部分もある。 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習』立花書房(2008年4月)……検察官派遣教官による捜査法の演習本。条文・判例を重視した手堅い解釈論は非常に参考になる。 古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』有斐閣(2011年2月)……法学教室の連載の単行本化。3問をプラスし、学生が混乱するポイントについての解説 を加えてあるほか、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、その意味でも参考になる。実務家(検察官)出身ではあるが、実務追認というわけではな く、近時の判例を踏まえているのはもちろんのこと、学界の動向をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めてある。主要論点をあまねく網羅している わけではないものの、概ね重要論点はカバーしており、論点勉強としてもなかなか使える。
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第一編 総則 第一章 通則(第1条―第3条) 第二章 裁判所 第一節 管轄(第4条―第22条) 第二節 裁判所職員の除斥及び忌避(第23条―第27条) 第三章 当事者 第一節 当事者能力及び訴訟能力(第28条―第37条) 第二節 共同訴訟(第38条―第41条) 第三節 訴訟参加(第42条―第53条) 第四節 訴訟代理人及び補佐人(第54条―第60条) 第四章 訴訟費用 第一節 訴訟費用の負担(第61条―第74条) 第二節 訴訟費用の担保(第75条―第81条) 第三節 訴訟上の救助(第82条―第86条) 第五章 訴訟手続 第一節 訴訟の審理等(第87条―第92条) 第二節 専門委員等 第一款 専門委員(第 92条の二―第92条の七) 第二款 知的財産に関する事件における裁判所調査官の事務等(第92条の八・第92条の九) 第三節 期日及び期間(第93条―第97条)? 第四節 送達(第98条―第113条)? 第五節 裁判(第114条―第123条)? 第六節 訴訟手続の中断及び中止(第124条―第132条)? 第六章 訴えの提起前における証拠収集の処分等(第132条の二―第132条の九)? 第七章 電子情報処理組織による申立て等(第132条の十)? 第二編 第一審の訴訟手続 第一章 訴え(第133条―第147条)? 第二章 計画審理(第147条の二・第147条の三)? 第三章 口頭弁論及びその準備 第一節 口頭弁論(第148条―第160条)? 第二節 準備書面等(第161条―第163条)? 第三節 争点及び証拠の整理手続? 第一款 準備的口頭弁論(第164条―第167条) 第二款 弁論準備手続(第168条―第174条) 第三款 書面による準備手続(第175条―第178条) 第四章 証拠 第一節 総則(第179条―第189条)? 第二節 証人尋問(第190条―第206条)? 第三節 当事者尋問(第207条―第211条)? 第四節 鑑定(第212条―第218条)? 第五節 書証(第219条―第231条)? 第六節 検証(第232条・第233条)? 第七節 証拠保全(第234条―第242条)? 第五章 判決(第243条―第260条)? 第六章 裁判によらない訴訟の完結(第261条―第267条)? 第七章 大規模訴訟に関する特則(第268条―第269条の二)? 第八章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則(第270条―第280条)? 第三編 上訴 第一章 控訴(第281条―第310条の二)? 第二章 上告(第311条―第327条)? 第三章 抗告(第328条―第337条)? 第四編 再審(第338条―第349条)? 第五編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則(第350条―第367条)? 第六編 少額訴訟に関する特則(第368条―第381条)? 第七編 督促手続 第一章 総則(第382条―第396条)? 第二章 電子情報処理組織による督促手続の特則(第397条―第402条)? 第八編 執行停止(第403条―第405条)? 附則 条文の一旦保存用
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【民事訴訟法】 〔基本書(メジャー)〕 ☆高橋宏志『重点講義民事訴訟法上下』有斐閣(2011/12・第2版,2012/11・第2版)……2分冊。いわゆる重要論点の数々を 取り上げて深く論じている。体系書ではないため純制度的・手続的知識には触れていないが、学界で争いのある論点についての網羅性は極めて高く、分厚い体系 書でさえ一言も触れていないような細かな論点であっても脚注などで拾い上げて、それなりに論及していることが多い。まさに広さと深さとを両立した本。ロー スクールの授業では必須のアイテムだと思われるが、受験対策としてここまでやるべきなのかどうかという点については異論も見られる。※法教355号 (2010年4月号)から366号(2011年3月号)まで連載再開。 ☆新堂幸司『新民事訴訟法』弘文堂(2011/08・第5版)……学界の到達点を示す最高水準の体系書。論理的かつ明快で、まことに示唆に富む。 文章そのものは柔らかいが、その一文一文にとても深い意味が込められており、著者の問題意識や利益考量の手腕を味わいながら読み進めたい。具体例が豊富な ので分かりやすいが、新堂説は結論の妥当性を柔軟に追求するものであり、いわゆる概念法学を好まない。それゆえ、かえって初学者にとっては取組みづらい内 容となっている。第4版では訴訟承継等で改説。第5版では証明度について優越的蓋然性説を採用するなどの改説、一般条項における要件事実と証明責任につい て加筆等している。なお非訟事件手続法・家事事件手続法には非対応。 ☆伊藤眞『民事訴訟法』有斐閣(2011/12・第4版)……学者執筆の基本書としては珍しく旧訴訟物理論。はしがきには概説書とあるが、著者の 見解がはっきりと打ち出されている本格派の体系書である。論点を網羅する、どちらかといえば広く薄いタイプ。全体として堅牢な体系と穏当な解釈が特徴だ が、脚註で少数説がサラッと書いてあることもあり、「新司は実務家登用試験だから旧訴訟物理論の本書だけで十分!」といった安易な読み方はするべきではな い、というか、できない。文章も硬く、内容もかなり難解な上、さまざまな法律用語が説明もなしに出てくるため、初学者にはまったく向かない。 ☆和田吉弘『基礎からわかる民事訴訟法』(2012/08)……LIVE本の著者による民事訴訟法全体を通覧する教科書。藤田・講義民訴の上位互 換である。条文(及びその趣旨)を重視し,図表を多用して、著者自身の言葉で噛み砕いた説明を行っているのが特徴。メリハリも効いており,重要論点につい てはまさに「司法試験に必要な程度」に学説(新堂,高橋など)も取り上げられているため,的確に問題認識をすることができる。 中野・松浦・鈴木編『新民事訴訟法講義』有斐閣大学双書(2008/05・第2版補訂2版)……各分野における第一線の教授陣による共著の概説 書。執筆者の面々を見るだけで一貫性に限界があるように思われるが、各人が得意分野を担当していることもあり、意外なほど使い勝手は良い。基本的には新訴 訟物理論の立場ではあるが、当然のことながら旧訴訟物理論もきちんと解説しているし、そもそも新説に立とうが結論に大きな差が生じないのが近年の傾向であ るから、それほど気にする必要はない。論点も豊富に取り上げられており、その解説も秀逸。ただし初学者向けではないので、先に入門書や簡単な概説書を読ん でおくとよい。また、執筆者によって文体と脚注の使い方が著しく異なるため、一冊の本としての統一性を求める読者には不向きである。いずれにせよ、ロース クール生にとって無難な選択であるのは確か。はしがきにある「最良の基準書」との称号は言い得て妙。なお、藤田広美『講義民事訴訟』との相性がよいとの声 がある。 山本弘・長谷部由起子・松下淳一『民事訴訟法』有斐閣アルマ(2009/03)……「手続の時系列に則し、手続の主体である原告、被告および裁判 所の手続の節目ごとの行動規範を明らかにする構成(はしがき)」を採用。多数当事者訴訟の項目を設けず、手続内で随時説明を加える構成が目を引く。近時の 多数説をベースにしながら、より先端的な有力学説にも適宜触れており、薄いように見えて重要な論点は意外なほど網羅的に拾っているが、個々の掘り下げは概 して不充分であり、本書のみで民訴の深い理解に到達することは難しい。とはいえ文章は比較的分かりやすく、言葉の定義はしっかりしている。クロスリファレ ンスを徹底しているのが学習者には嬉しいところ。 総研『民事訴訟法講義案』司法協会(2010/06・再訂補訂版)……実務説(旧訴訟物理論)。掲載されている論点が豊富。ただし試験に関係ない記述も多数。淡白。 藤田広美『講義民事訴訟』東京大学出版会(2011/04・第2版)……総研本著者による話題の新著。民事訴訟法の体系書ではなく、民事訴訟実務 の手続きをコンパクトにまとめたマニュアル本。『民事訴訟実務の基礎』などに近い。たまに論点を取り上げて独自の考察をしているが、おおむね学説の対立に は分け入らない傾向にあり、実務上定着している論点はほとんど所与のものとして扱っている(たとえば訴訟物論争についても完全にスルー。)。前半部分で要 件事実についても多くの頁を割いて解説しているため,内容が薄いとの声もある。もっとも「新試にはこの一冊で充分」などと言われることもあり、賛否両論あ るところだろう。はしがきやあとがきを見ると、本書が民訴の初学者に向けて書かれたものであるということは明らかだが、民法・民訴・要件事実について一通 り知識がないと読みこなせないとの評価もある。第2版では手形訴訟手続・簡易裁判所手続・上訴などの記述を補充し,頁数がかなり増えた。 上田徹一郎『民事訴訟法』法学書院(☆2011/06・第7版)……基本事項を網羅的かつ丁寧に解説する教科書。縦書き。教育的配慮から基本部分 と応用部分を本文と脚注に2分して解説する独特のスタイルをとっている。自説主張が弱く、判例・学説の発展の経緯が丁寧に書かれている一方、最新の議論に ついてはやや弱い面がある。かつては受験生トップシェアだったが、伊藤や講義案のシェアが増加する一方、本書を利用する学生は減少傾向にある。だが、教育 効果の高い良書であることに変わりはないので、民訴が苦手な人や初学者は試す価値がある。著者高齢のため第6版・第7版の改訂は上田教授の意向を受けた稲 葉教授が行った。本文に変更はほとんどなく、稲葉教授が論点を補充したほか、新判例や新立法のみを巻末にまとめて追加しただけの、やや残念な改訂となって いる。ただ、判例追補は短答対策に有益だという意見もある。 〔基本書(その他)〕 林屋礼二『新民事訴訟法概要』有斐閣(2004/09・第2版)……16年改正対応。現在では古くなった感があるが、500頁という分量 ながら用語の定義や基本概念については他に類を見ないほど非常に充実している。複雑訴訟が独立の項目になっていないなど、一般的な基本書とは大きく異なる 構成をとっているために初学者にはとっつきにくいと思われるが、そのような配慮を理解できる中上級者にとっては一読の価値がある。現在は絶版となってお り、有斐閣でオンデマンド版の購入が可能であるが、1冊10,000円と高価格なのがネック。 松本博之・上野泰男『民事訴訟法』弘文堂(2010/10・第6版)……新訴訟物理論(二分肢説)。共著とは言え、執筆者は2名であり、言葉の定 義にぶれはなく、クロスリファレンスも比較的充実している。もっとも、一冊の本として一貫しているかと言うと、単に松本執筆部分が多いから一貫性の欠如が あまり表面化していないだけであろう。松本教授の執筆する単純訴訟の第1審手続の部分と、上野教授の執筆する複雑訴訟および上訴の部分では、書きぶりが まったく異なるので、以下では分けて説明する。まず、松本執筆部分について言うと、少数説が非常に多い。そうした論点では判例・通説は丁寧に語られず、結 論のみか、理由があっても一、二行といった状態である。松本教授の興味関心に応じて記述にムラがあるほか、細かな論点においてある見解を採用する根拠を他 の著作や研究論文に丸投げしている箇所もちらほらある。学生に向けて条文や制度の趣旨を丁寧に解説する、いわゆる教科書としての性格は薄い。文章も分かり にくく、学生にとってはあまり使い勝手の良くない本である。次に上野執筆部分について説明する。上野教授(民訴の天才とも、破壊神とも)の執筆する複雑訴 訟および上訴の部分は、思考の整理が行き届いており、文章が分かりやすく、判例や多数説をきっちり踏まえた内容となっており、非常に読みやすい。結論とし て少数説を採る箇所もあるが、そうした箇所で少数説に深々と立ち入るのは避けている。難しい議論は文字のポイントを落とすなど、記述にメリハリがあり、制 度趣旨の説明も丁寧で、学生向け教科書としても出色の完成度である。 ☆上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『民事訴訟法』有斐閣S(2012/04・第6版補訂版)……新訴訟物理論。薄くて通読向き。学説の対立にはあま り分け入らず、判例の紹介は多いがほんの数行程度であり、単に問題提起をしただけで終わってしまっているような個所も散見される。文書もSシリーズにして は硬く、初学者は本書のみではどうにもならないだろう。上級者のまとめ用としてなら便利か。 ☆三谷忠之『民事訴訟法講義』成文堂(2011/07・第3版)……薄め。判例重視。15年改正対応(第2版)。第3版は評価待ち。 河野正憲『民事訴訟法』有斐閣(2009/05)……横書き900頁超。概して重たい傾向にある民訴の基本書の中でもひときわボリュームが大き い。判決文を頻繁に,かつ長めに引用している点に特色があるが,その分,論点に対する解説は頁数の割に薄くなってしまっており,意外と使いにくい。 ☆小林秀之・山本浩美『明解民事訴訟法』法学書院(2012/04・第2版)......全32章。問答方式により理解をすすめることを目的としている。巻末資料として書式の引用が豊富。第2版で国際裁判管轄規定に対応。 ☆小林秀之・原強『民事訴訟法(論点講義シリーズ8)』弘文堂(2011/07・第4版)......国際裁判管轄規定に対応。 納谷廣美『講義民事訴訟法』創成社(2004/06)……読み易くコンパクト。実務も重視。演習書『演習民事訴訟法』創成社(2005/02)と対をなす。 梅本吉彦『民事訴訟法』信山社(2009/04・第4版)……分厚い文字どおりの体系書。改訂頻繁だが、はしがきを読むとなんか許せてしまう。 岡伸浩『民事訴訟法の基礎』法学書院(2008/09・第2版)……弁護士の著作。読みやすく、判例の紹介も詳細。 伊藤眞・山本和彦『民事訴訟法の争点』有斐閣(2009/03)……シンプルな論点集。網羅性は高いが、やや舌足らずな解説も見られる。 【旧法】兼子一・竹下守夫『民事訴訟法』弘文堂(1993/07・新版)……旧通説。2008年10月にOD版として復活。新民訴法不対応だが、簡明に伝統的通説を示した本書(全体で300頁ほどしかない)が改訂されることなく消えていくのは、惜しまれてならない。 吉村徳重・竹下守夫・谷口安平編著『講義民事訴訟法』青林書院(2001/04)……竹下守夫・谷口安平らが関わった新法対応の教科書。井上、伊 藤、河野、春日など大学双書とかなり執筆者が被っている。大学双書が理論面での解説に力を入れているのに対し、こちらは概ね通説・実務の立場にたち、それ がどのように運用されているかを解説する。大学双書よりはあっさりしているが、書研や藤田ほど蛋白ではなく、また予備校的論点解説ではない。学説の錯綜に 混乱した時本書を読んでみるのもありかもしれない。 【旧法】谷口安平『口述民事訴訟法』成文堂(1987/12)……口述法律学シリーズの傑作。著者は元京大教授、「コップの中の嵐」で知られる大 御所。臨場感あふれる軽妙な語り口で、分かりやすく、かつユーモラスに民訴を解きほぐす。普通の基本書はあまり触れないようなことが丹念に述べられてお り、非常に示唆的である。旧法下の本だが、本書の大部分は、法改正にほとんど関係ない総論部分にあてられているため、既に一通り勉強した学生が参考書とし て通読ないし拾い読みをしていけば、立体的な民訴の理解に到達できるだろう。 〔入門書〕 ☆木山泰嗣『小説で読む民事訴訟法』法学書院(2008/04)……小説形式で民事訴訟法・民事裁判を学ぼうという意欲作。現在最も適切な入門書。寝転がって気楽に読める。基本書を読んでもイマイチわからなかった点が、スッキリと理解できる。学習効果抜群の良書。 中野貞一郎『民事裁判入門』有斐閣(2010/04・第3版)……入門書の定番。咀嚼された文章に定評があるが、それほど易しい本ではない。いく つかの論点については比較的高度な検討を加えており、意外と内容は深い。第3版では執行・保全の章が削除された代わりに管轄と家事事件の章が追加され、判 決手続きに特化されることになった。もっとも、本書のみでは択一ですらおぼつかないところがあり、できるだけ早く通常サイズの基本書に移行するべきだろ う。 山本和彦『よくわかる民事裁判』有斐閣(2008/08・第2版補訂)……平凡吉という主人公の人生が物語調に書かれている。賃貸借契約にかかる事例を用いて、民事裁判の始まりから終わりまで、小説を読む感覚で学ぶことができる。 司法研修所監修『民事訴訟第一審手続の解説-事件記録に基づいて』法曹会(2001/06・4訂版)……司法研修所の民事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審民事訴訟手続を解説。手続法において重要な手続の流れをつかむのに最適。 〔判例集〕 高橋宏志・高田裕成・畑瑞穂編『民事訴訟法判例百選』有斐閣(2010/10・第4版)……7年ぶりの改定。判例数をさらに絞って国際民事訴訟法に関する判例を割愛。競合の判例集が少ないこともあり、ほぼ皆が利用している 小林秀之編『判例講義 民事訴訟法』悠々社(2010/09・第2版)…205の判例を収録。判例数は多く、テーマごとに同一著者が評釈している点が特徴。 上原敏夫・池田辰夫・山本和彦『基本判例民事訴訟法』有斐閣(2010/09・第2版補訂)……Sシリーズ著者による判例集。判例解説なし。 小川英明・長秀之・宗宮英俊編著『民事訴訟法主要判例集』商事法務(2009/08)……裁判官(及び元裁判官)が編集した判例集。条文順の並びで判例解説はなく、判例収録数は驚きの604件(そのほとんどが大審院および最高裁の判例)。 〔注釈書〕 秋山幹男ほか『コンメンタール民事訴訟法I・II・III・IV・V』日本評論社(I・2006/04・第2版,II・2006/03・ 第2版,III・2008/06,IV・2010/12,V・2012/08)……旧民事訴訟法下の定番コンメンタールであった菊井=村松『全訂民事訴訟 法(全3巻)』の改訂版であり、実務家必携の詳細な注釈書。全7巻(予定)。旧版の執筆者は裁判官が中心であったこともあり実務的に手堅い見解をとってい る。少数執筆者による合議を経て執筆されているため、執筆部分につき匿名方式をとっている。 兼子一原著・松浦馨ほか著『条解民事訴訟法』弘文堂(2011/04・第2版)……上記コンメン民訴が実務家必携であるのに対し、こちらは研究者 執筆(今回の改訂には裁判官も執筆者に参加しているが)にかかる理論的な解説も充実したアカデミックな(新訴訟物理論を支持していたりする)定評ある注釈 書。1冊本だが本文1924頁(!)。山本和彦教授が本書の書評において、本書の採用する見解を論点ごとに短評しており参考になる(判タ1350号80 頁)。ただし、数多くの間違いが指摘されている点に注意が必要である(出版社HPで訂正が公表されているが、それも全ての間違いがカバーされているわけで はない)。 賀集唱ほか『基本法コンメンタール民事訴訟法1・2・3』」日本評論社(1-3・2012/02・第3版追補版)……改訂が比較的頻繁。実務的な 細かい手続きの情報が充実しているのが特徴。本のサイズが大きく文字ポイントも小さいため学生には十分な情報量がある。第3版追補においては国際裁判管轄 についての民訴法改正を逐条解説。日本評論社のHPにて追補部分をダウンロード可能。 笠井正俊・越山和広『新・コンメンタール民事訴訟法』日本評論社(2010/12)……TKCで提供されているインターネットコンメンタールを紙 媒体に印刷したもの。頁数は1264頁と多いが、結構空白が多く文字ポイントも大きいので情報量はわりと少なめである。もっとも、短答対策には十分であ る。 〔演習書〕 三木浩一・山本和彦編『ロースクール民事訴訟法』有斐閣(2010/03・第3版補訂)……独習には向かないが良問が揃っている。【資 料】欄に掲載されている文献は高橋『重点講義』その他の書籍でも採り上げられているものが多く,基本かつ重要な文献が掲載されている(ただし,内容的には 高度なものも含まれている)。 長谷部由起子他『ケースブック民事訴訟法』弘文堂(2010/03・第3版)……判例を分析するタイプの問題が多い。ロースクール民事訴訟法とかぶっているところも多々あり。 長谷部由起子ほか『基礎演習民事訴訟法』弘文堂(2010/04)……執筆陣は東大卒の若手研究者を中心とする30名で,おのおのが得意分野を担 当しており,学習者向けの良質な論点解説集となっている。はしがきには学部生や未修者向けの演習書と書かれているが,決して易しい問題ばかりという訳では ない。解析民訴やライブ本に取り組む前の橋渡しとして,多くの学生にとって有益な一冊と言えるだろう。 藤田広美『解析民事訴訟』東京大学出版会(2009/02)……藤田『講義』の続編。こちらも口語体。通説以外の学説をスルーしすぎたきらいのあ る『講義』を補完。昭和24年度から平成20年度までの旧試論文問題に適宜寄り道して検討を加えながら、重点講義のように体系順に重要論点を解説してい る。全体としてかなり広い範囲をカバーしているが、掘り下げは受験レベルとしてもやや物足りない。旧試過去問のうち、事例問題の中には数頁を費やして解説 されているものもあるが、一行問題の多くはほとんど、あるいは全く解説が付いていない。そもそも過去問の解説は答案作成を想定したものになっておらず、演 習書と言うよりは教科書に近い。初刷は誤記・誤植多数のため、東大出版会HPで長大な訂正一覧が発表されている。必ず第2刷以降を買うべきである。 和田吉弘『司法試験論文本試験過去問 民事訴訟法』辰巳法律研究所(2005/04)……元判事の教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。いわゆるライブ本。辰巳作成解答例・講師レジュ メ・問題解説・解答例の検討からなる。旧司法試験受験生向けの講義のため、基本的に引用文献を伊藤・双書・新堂・上田等の代表的体系書と重点講義・百選 (第3版)に抑えて解説している。分厚いが要するに講義録なので読みやすく、わかりやすい。理論水準も藤田・解析より安定しており、信頼できる。新版は平 成16年度の問題まで収録しており,全40問。絶版だったが2008年に万能書店からオンデマンド版で復刊された。16年改正対応。復刊後、万能書店の全 書籍売れ筋ランキングでほとんどの期間を通じて1位を維持している(2011年6月12日現在)。 井上治典『実践民事訴訟法』有斐閣(2002/3)……理論的に高度な論点も平易な記述で論文試験に活かせられるように解説。ロースクール民事訴訟法が手軽になったものと考えてもよい。著者が故人のため改訂は見込めない。 遠藤賢治『事例演習民事訴訟法』有斐閣(2008/10、2011/03改訂予定)……法学教室の「演習」連載の単行本化。著者は判事出身のロー スクール教員。初~中級向けの事例問題と丁寧な解説。何気に有斐閣ロースクール民訴との相性が抜群なので(同書で問われている事項の基礎を本書でさらって いくことができる。)、ロースクールの授業で同書を使用している学生は、余力があれば並行して本書を使用してみるとよいだろう。独習でガンガンいける。 小林秀之『プロブレム・メソッド新民事訴訟法』判例タイムズ社(1999/08・補訂版)……判例の事案を中心に学べる本。 結構面白い。後継本として『ケースで学ぶ民事訴訟法』日本評論社(2008/04・第2版)。 小林秀之『事例分析ゼミ 民事訴訟法』法学書院(2007/12)……受験新報連載を単行本化。優秀な大学生の男女、努力家の大学院生、若手渉外弁護士、4人のゼミ生による小林ゼミ(という設定)。レベルはかなり高い。 〔その他〕 伊藤眞・加藤新太郎・山本和彦『民事訴訟法の論争』有斐閣(2007/07)……民事訴訟法の重要論点を対談形式で進めていく。学説の整理、学会の最新の議論などに秀でる。 新堂幸治編『特別講義民事訴訟法』有斐閣(1988/2)……理論民事訴訟法学の最重要文献の一つ。もともと法学教室の連載であったが、内容は超 高度。気分転換やある論点について知識を深化させたい時ぐらいしか読むべきではない。内田貴、加藤雅信稿はそれぞれの民法学を理解するためには必見。OD 版により復刊。
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横スクロールについて 表部分を1回クリックすると、左右矢印キーで横スクロールできます。 書面の流れ 書面は基本的に原告と被告が交互に出していきます。(type1) ただし、被告答弁書は簡素に済ませて時間稼ぎする事もできます。(type2) また、自分のターンでなくても、任意に補充書面を出す事もできます。(type3) また、自発的に補充する以外に、裁判所の指示に基づいて補充する場合もあります。 type1) 訴状 → 被告答弁書 → 原告準備書面① → 被告準備書面① → 原告準備書面② → ・・・ type2) 訴状 → 被告答弁書(三行答弁) → 被告準備書面① → 原告準備書面① → 被告準備書面② → 原告準備書面② → ・・・ type3) 訴状 → 被告答弁書 → 被告準備書面①(補充) → 原告準備書面① → 被告準備書面② → 原告準備書面② → ・・・ 控訴の流れ(控訴と附帯控訴) 控訴は、判決が送達された日の翌日から二週間以内にする必要があります。 最初は控訴を行う旨だけを記載した控訴状を提出します。 次に判決についての不服を説明した控訴理由書を提出します。 原告・被告どちらか一方だけが控訴した場合、控訴人の控訴理由書に基づいて、 控訴人が元の判決と比較して不利益にならないように審理が行われます。 そのため、控訴をしなかった側は、相手の不利益を求める審理が行われるように、後から附帯控訴をする事ができます。 附帯控訴は、控訴の口頭弁論が始まる前までに行う必要があります。 高等裁判所について 高等裁判所は全国に8つの本庁と6つ支部があります。地裁からの控訴は、いずれか最寄りの高等裁判所で実施されます。 本庁:東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松 支部:名古屋高裁金沢支部、広島高裁岡山支部、広島高裁松江支部、福岡高裁宮崎支部、福岡高裁那覇支部、仙台高裁秋田支部 注釈 ※1 一部主張が書いてあるので書面が長くなっていますが、追って主張を行う旨が書いてあるので、次回も被告のターンとなります。 + 過去のお知らせ 過去のお知らせ 暇空氏「今日BONDの住民訴訟だったんですが、牛歩戦術の限界が来て、やっと10月末までに都庁が反論することになりました。WBPC住民訴訟系は10月頃から動き出すでしょう」 ※ツイート 2023/08/31 PM 1 26 暇空氏「住民訴訟で実際のバトルが始まるのは2023年末から年明けの見込み」 ※ライブ配信2023/08/21の15m18sで言及 裁判所 原告または被告 訴因 判決 リスト再生 動画1 動画2 動画3 動画4 動画5 動画6 動画7 動画8 動画9 動画10 動画11 動画12 地裁 被告:東京都(R5東京都若年被害女性等支援事業) 公文書不開示決定を不服とする国家賠償請求訴訟公文書名:R5東京都若年被害女性等支援事業補助金申請書※ツイート2023/09/08、同、同※ツイート2023/09/13、同、同 2024/03/26勝訴東京都の不開示決定を取り消す請求33万円に対し確定額1万1千円訴訟費用9/10被告負担 ▶ 2023/10/09note(定価¥500拡散割引¥300)訴状 2023/12/16note(定価¥500拡散割引¥300)被告答弁書開示文書公開罪?※来年2月頃結審、4月頃判決の見込み2024/02/29ツイート国賠結審、判決3月26日 2024/03/19note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面①争点がシンプル※結審※判決は3月26日 2024/03/26ライブ配信12024/03/26ライブ配信2note(¥0)判決:勝訴暇空氏ツイート1、2 地裁 被告:東京都(R3 Colabo 若年被害女性等支援事業) 住民監査を不服とする住民訴訟表3を理由に指摘事項が退けられた点 ▶ 2023/01/22note(¥300)訴状 2023/03/20note暇空茜声明文 2023/05/04note(¥300)被告準備書面① 2023/07/09note(¥500)補助参加人答弁書実際(Colabo主張) 2023/07/28note概算払いの検査調書/精算書 2023/09/01note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面①アニマルズの元気玉 2023/12/17note(定価¥500拡散割引¥300)補助参加人準備書面①表3と実際の矛盾点の反論 2024/01/31note(定価¥500拡散割引¥300)補助参加人準備書面②領収書を出せない理由 2024/05/04note(定価¥500拡散割引¥300)原告&被告準備書面②都が合法としたので問題なし内容のない牛歩を繰返す 地裁 被告:東京都(R3 若草 若年被害女性等支援事業) 住民監査を不服とする住民訴訟不正会計の訴え ▶ 2023/05/22note(R3のWBPセットで¥500)訴状 地裁 被告:東京都(R3 Bond 若年被害女性等支援事業) 住民監査を不服とする住民訴訟不正会計の訴え ▶ 2023/05/22note(R3のWBPセットで¥500)訴状 2023/11/30note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面①無茶苦茶な答弁 地裁 被告:東京都(R3 ぱっぷす 若年被害女性等支援事業) 住民監査を不服とする住民訴訟不正会計の訴え ▶ 2023/05/22note(R3のWBPセットで¥500)訴状 2023/10/29note(定価¥600拡散割引¥500)被告答弁書(三行答弁)※1被告準備書面①補助参加人答弁書 2023/12/10note(無料)補助参加人準備書面①費目の説明(ペラ2) 2024/03/03note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面① 地裁 被告:東京都(R4 若草/Bond/ぱっぷす/Colabo 若年被害女性等支援事業) 住民監査を不服とする住民訴訟随意契約および概算払いの違法性を問う ▶ 2023/06/20note(¥300)訴状 2023/12/09note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面①補助参加人Colabo準備書面① 2024/03/20note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面①&②被告準備書面②補助参加人Colabo代理人変更:中川卓→神原元web公開されている若草プロジェクトの事業報告書が簡易版へ変化BONDとぱっぷすは補助参加せず11ヶ月ぐらいの牛歩があったが、バチバチのバトル開始はこれから 地裁 被告:東京都(R3 Colabo DVセーフティネット交付金) 住民監査を不服とする住民訴訟違法な交付金の返還請求 ▶ 2024/02/02note(定価¥500拡散割引¥300)訴状被告答弁書 地裁 被告:東京都(R3 若草 DVセーフティネット交付金) 住民監査を不服とする住民訴訟違法な交付金の返還請求 ▶ 2023/11/27note(定価¥500拡散割引¥300)訴状被告答弁書 地裁 被告:東京都(R3 Colabo DVセーフティネット交付金) 公文書非開示決定取消等請求(開示文書の海苔剥がし)(ナニカグループ集金スキーム疑惑) ▶ 2022/12/17noteナニカレポート 2022/12/22note(¥300)訴状 2023/03/18note(¥300)被告答弁書 2023/05/24note牛歩戦術か? 2023/05/27note奇妙な言い訳 2023/10/05note(¥500)原告準備書面① 2024/02/26note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面⑤※被告準備書面①〜④が飛んでいますが、実質的な内容がない、または、重複的な内容だったものと推測されます。※詰めの整理後に結審予定 地裁 被告:東京都(R4 Colabo DVセーフティネット交付金) 公文書非開示決定取消等請求(開示文書の海苔剥がし)(セブンナイツ弁護士費用支出疑惑)まとめtogetter ▶ 2023/04/21note太田弁護士の過剰反応 2023/04/20note(¥300)訴状 2023/07/16note(¥300)被告答弁書報道できない闇 → →R3DVとR4DVは裁判所の進行がまとめられたので、訴訟動画もまとめられた。ただし、書面はそれぞれに分かれている。 原告準備書面①反論になっていない 被告準備書面②※被告準備書面①が飛んでいますが、実質的な内容がない、または、重複的な内容だったものと推測されます。※次回結審 地裁 原告:Colabo 名誉毀損(タコ部屋訴訟) ▶ 2022/12/13note1(¥1,000)note2訴状 2023/02/25note(¥1,000)被告&原告準備書面① 2023/04/08note(¥1,000)被告&原告準備書面② 2023/06/10note(¥1,000)被告&原告準備書面③仁藤夢乃陳述書2023/08/22に原告準備書面④追加 2023/06/17note原告意見書シェルターの海苔剥がし? 2023/09/17note(¥1,000)被告準備書面④原告準備書面⑤真面目に主張を尽くす 2023/11/11note(¥1,000)被告準備書面⑤⑥被告意見書原告準備書面⑥⑦⑧⑨シァアハウス書面に堀口くん登場 仁藤夢乃本人尋問速報2024/01/23ライブ配信参考ツイート1、2ホワイトボードの家計簿の話※4月頃に結審、夏頃に判決の見込み 2024/04/09note(定価¥500拡散割引¥300)仁藤夢乃尋問調書堀口判決2024/02/28が証拠として提出される 2024/04/27note(定価¥600拡散割引¥500)原告準備書面⑩(マスコミ向け資料70ページ)被告準備書面⑦原告準備書面⑪原告意見陳述書(神原弁護士演説原稿)どっちに転んでも控訴※結審※判決は7月18日 被請求者:中川卓弁護士 懲戒請求(Twitterウザ絡み) ▶ 2022/12/27note(¥500)懲戒請求書&中川卓弁明書 2023/12/06ライブ配信note(定価¥500拡散割引¥300)請求者準備書面① 被請求者:中川卓弁護士 懲戒請求(個人情報流用) ▶ 2023/01/27note(¥500)懲戒請求書&中川卓弁明書 地裁 被告:のりこえねっと(上野千鶴子) 不当著作権侵害申立による損害賠償 2023/08/24敗訴原告請求棄却※確定 ▶ 2022/12/23note(¥300)訴状 2023/05/08note(¥300)被告準備書面① 2023/06/18note(¥100)主張が出揃う前に結審→原告請求棄却か? 2023/08/31note(¥0)判決:敗訴↓の反訴へ続く 地裁 原告:のりこえねっと(しんすご、島崎ろでぃー) 著作権侵害による損害賠償※ライブ配信2023/08/21の3m8sで言及 ▶ 2023/10/18note(定価¥1,000拡散割引¥500)訴状被告答弁書 2024/01/28note(定価¥700拡散割引¥500)原告準備書面①請求の趣旨の変更申立書原告準備書面②被告準備書面①著作権の移転の解釈? 2024/04/13note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面③高橋英明陳述書(のりこえねっと初期メンバー)被告準備書面②原告準備書面④※5月に高橋英明さんの本人尋問予定※判決は7〜9月の見込み 地裁 被告:Colaboを支える会(北原みのり) 不穏なリツイート ▶ 2023/02/18note(¥300)訴状 2023/04/19note(¥300)被告答弁書&原告準備書面① 2023/06/02note(¥300)被告準備書面① 2023/09/09note(¥500)原告&被告準備書面②ゆるい団体 2023/10/15note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面③そもそも発言否認なので本人尋問予定※来年の春頃判決見込み 2023/11/14note被告尋問事項(非開示)リツイートした真犯人 2023/12/02note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面③(note無料部分)証拠申出に対する意見書(note無料部分)原告準備書面④(note有料PDF)被告準備書面④(note有料PDF)原告準備書面⑤(note有料PDF)リツイートしたのは太田啓子弁護士と自白する太田啓子弁護士から債務不存在確認訴訟が提起される 地裁 被告:神原元弁護士 名誉毀損(リーガルハラスメント記者会見) ▶ 2023/01/29note(三人セットで¥1,000)訴状 2023/04/23note(¥300)被告答弁書 2023/06/27note(¥500)被告&原告準備書面①※被告は補充書面 2023/09/24note(¥500)被告準備書面②&③&④おち○ぽ騎士団 2024/03/15note(定価¥800拡散割引¥500)原告準備書面②被告準備書面⑤&⑥&⑧※被告準備書面⑤の差替が⑥※被告準備書面⑦は公開されずゆめみゃん誤記堀口判決2024/02/28が証拠として提出される 地裁 被告:太田啓子弁護士 名誉毀損(リーガルハラスメント記者会見)(週刊金曜日の記事掲載) ▶ 2023/01/29note(三人セットで¥1,000)訴状 2023/03/14note(¥500)被告答弁書 2023/07/15note(¥500)被告&原告準備書面①※被告は補充書面 2023/10/13note(定価¥600拡散割引¥500)被告準備書面②&③&④そのように主張すれば良い 2024/03/16note(定価¥800拡散割引¥500)原告準備書面②被告準備書面⑤&⑥&⑦&⑧ゆめみゃん誤記堀口判決2024/02/28が証拠として提出される 地裁 原告:太田啓子弁護士 債務不存在確認訴訟経緯:Colaboを支える会訴訟で不穏なリツイートしたのは太田啓子弁護士との自白があり、そのリツイートについて債務は存在しないとする確認訴訟※下記反訴が提訴されたため取り下げられた ____/__/__取下げ ▶ 地裁 被告:太田啓子弁護士 不穏なリツイート経緯:上記の債務不存在確認訴訟の反訴として、太田啓子弁護士の不穏なリツイートを改めて提訴した ▶ 2024/02/28ツイート求釈明書とその返事 2024/03/05note(定価¥500拡散割引¥300)訴状求釈明書とその返事 堀口判決2024/02/28が証拠として提出される 地裁 被告:伊藤和子弁護士 名誉毀損(暇某ツイート) 2024/02/05敗訴原告請求棄却※控訴 ▶ 2023/01/29note(三人セットで¥1,000)訴状 2023/06/07note(¥300)被告準備書面① 2023/07/03note(¥300)原告準備書面1 2023/09/16note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面②&③反訴が別訴になる 2024/01/26note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面②被告準備書面④※結審※判決は2月5日 2024/02/07note(¥0)判決:敗訴↓の控訴へ続く 高裁 被告:伊藤和子弁護士 名誉毀損(暇某ツイート) ▶ 2024/04/29note(定価¥500拡散割引¥300)原告控訴理由書 地裁 原告:伊藤和子弁護士 名誉毀損(チューチューツイート) ▶ 2024/01/27note(定価¥700拡散割引¥500)訴状被告答弁書無理筋訴訟? 2024/04/28note(定価¥500拡散割引¥300)原告&被告準備書面① 地裁 被告:熱海のあっつん 名誉毀損(カルト/見せ金ツイート) 2023/10/30勝訴請求165万円に対し確定額33万円訴訟費用1/5被告負担※確定 ▶ 2023/01/18note(¥300)訴状 2023/04/02note(¥300)被告準備書面① 2023/05/16note(¥300)原告準備書面①※主張がほぼ出揃う 2023/06/30note(¥300)被告準備書面②※秋口に判決見込み 2023/08/31note(¥300)原告準備書面②被告準備書面③和解と判決の話※結審※次回判決 2023/10/31note(定価¥300拡散割引¥100)判決:勝訴違法性については完全勝利2023/11/20被告から抗告しない旨、連絡ありライブ配信での言及 地裁 被告:望月衣塑子 名誉毀損(ラジオ番組での発言) ▶ 2023/03/05note(¥300)訴状 2023/07/12note(¥300)原告準備書面①&②※どちらも裁判所の指示による補充書面相手方はスーパーネームド弁護士 2023/08/05note(¥300)被告準備書面① 2023/11/25note(定価¥700拡散割引¥500)原告準備書面③&④被告準備書面②&③潰れるのを期待していた? 2023/12/29note(¥0)被告準備書面④&⑤仕事できないで詰められてるアルバイトみたいな代理人 2024/02/04note(定価¥300拡散割引¥100)被告準備書面⑥原告準備書面⑤まだまだ牛歩戦術2024/03/18 ツイート被告側が13日締切り19日期日の書面を提出せず1、2、32024/03/19 ツイート被告側が期日で書面を踏み倒し1、2、3、4、5、6、7 2024/03/30note(¥0)被告書面踏み倒し6週間もらって何もできず、また6週間おかわり潰れるのを期待していた?(再) 地裁 被告:菅野完 名誉毀損(youtube動画の発信) ▶ 2023/04/13note(¥500)訴状 2023/08/12note(¥500)被告準備書面① 2023/08/13note(¥300)原告準備書面① 2023/12/05note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面②※主張が概ね出揃う※次回は原告反論で、そのあと結審の見込み 2024/02/03note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面②リーガルマジレス 2024/03/12note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面③堀口判決2024/02/28が証拠として提出される※4月末頃結審、7月判決の見込み 2024/05/12note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面③被告準備書面④※結審※判決は7月17日 地裁 被告:桜ういろう 名誉毀損(数万人の組織/コロアキ扇動ツイート) 2024/01/26勝訴請求330万円に対し確定額22万円訴訟費用3/50被告負担※控訴 ▶ 2023/04/22note(¥300)訴状 2023/05/28note被告答弁書(三行答弁)担当弁護士に注目! 2023/07/31note(¥500)被告準備書面①カンパ口座取引履歴の要求! 2023/08/02note文書提出命令申立書反論意見書 2023/09/23note(¥500)原告準備書面①文書提出命令に関する意見書被告準備書面②裁判長の心証開示:カンパ名簿は却下予定 桜ういろう訴訟判決速報2024/01/26ライブ配信参考ツイート1、2 2024/03/02note(¥0)判決:勝訴被告控訴のため附帯控訴↓の控訴へ続く 高裁 被告:桜ういろう 名誉毀損(数万人の組織/コロアキ扇動ツイート) ▶ 地裁 被告:新橋九段 名誉毀損・平穏生活権侵害(不穏なツイート)、他 2024/04/18本訴:勝訴(平穏権侵害)請求棄却(デマの流布)請求165万円に対し確定額11万円反訴:勝訴請求棄却訴訟費用1/4被告負担※控訴 ▶ 2023/06/25note(¥300)訴状 2023/08/25note(¥300)被告答弁書 2023/12/11note(定価¥1,000拡散割引¥800)原告準備書面①被告準備書面①反訴状反訴答弁書原告準備書面②※来年春頃判決見込み 2024/01/16note(定価¥150拡散割引¥100)被告準備書面②&③ 2024/02/01note(定価¥300拡散割引¥100)原告準備書面③※次回結審、4月頃判決見込み※反訴の判決もまとめて出ます 2024/04/18ライブ配信判決速報:勝訴本訴 11万円払え反訴 却下する 2024/05/08note(¥0)判決:勝訴↓の控訴に続く 高裁 被告:新橋九段 名誉毀損・平穏生活権侵害(不穏なツイート) ▶ 地裁 被告:堀口英利原告:X社補助参加:暇空茜↓前提となる被告の開示命令が取下げられたため、原告の取消請求も取下げとなった。 発信者情報開示命令取消請求暇空氏補助参加表明※ツイート2023/08/18※ライブ配信2023/08/21の12m55sで言及第1回期日は10/3 ※ツイート2023/09/14X社が取下げの見込み ※ツイート2023/09/189/22に取下げ ※堀口くんnote魚拓2023/09/22 2023/09/22取下げ ▶ 地裁 基本事件原告:代替氏名A基本事件被告:代替氏名B抗告人:暇空茜※横浜簡裁からの抗告2023/04/21 基本事件被告がツイート2023/05/08 基本事件原告が提訴2023/06/22 基本事件判決2023/07/04 補助参加申出(暇空氏側)2023/07/06 補助参加異議申立(堀口氏側)2023/07/11 補助参加申出却下 補助参加申出却下決定に対する即時抗告事件経緯は↓簡裁での補助参加は却下※堀口くんツイート魚拓2023/08/21地裁へ抗告※ツイート2023/08/21、同、同※ツイート2023/08/22※ライブ配信2023/08/24で言及 2023/10/31敗訴抗告棄却 ▶ 2023/09/28ライブ配信note(定価¥500拡散割引¥300)被告意見書馴れ合い訴訟? 2023/11/01ライブ配信※前後に雑談あり。本編は15 58〜53 21判決書面はライブ配信で表示されるので、詳しくはそちらを見てください。判決:本件抗告を棄却する。note(定価¥500拡散割引¥300)原告意見書2023/11/02堀口くんnote魚拓こちらからも判決書面が見れます 2023/12/08ライブ配信その1note(定価¥800拡散割引¥500)基本事件の被告答弁書この書面は学習院告発サイト仮処分裁判の被告側証拠乙11-1として提出されたものです。 2023/12/08ライブ配信その2note(定価¥800拡散割引¥500)基本事件の判決文および訴状この書面は学習院告発サイト仮処分裁判の被告側証拠乙9-1として提出されたものです。この書面には提訴されたツイート全文が記載されています 地裁 原告:note社被告:堀口英利補助参加:暇空茜 発信者情報開示命令取消請求経緯は↓2023/09/14 発信者情報開示決定:堀口くんnote魚拓____/__/__ 異議申立て 2024/03/21勝訴命令取消 ▶ 2024/03/12ライブ配信答弁書の話和解の提案があった話 2024/03/14ライブ配信note(定価¥500拡散割引¥300)被告答弁書(伊久間勇星弁護士)水原清晃は同姓同名の別人が居る 2024/03/21判決速報決定を取り消す暇空氏ツイート1、2 地裁 原告:堀口英利被告:note社補助参加:暇空茜 暇空氏note記事削除本訴訟経緯は↓2023/09/14 削除仮処分決定:堀口くんnote魚拓2023/10/27 起訴命令:ライブ配信2023/11/08の21m13s2023/11/27 提訴:堀口くんnote魚拓2024/02/05 被告から暇空氏を取下げ(被告がnote社だけに)2024/02/14 暇空氏補助参加 ▶ 2024/02/15ライブ配信訴状内容に言及 2024/02/23ライブ配信の2h6m52s期日や締切りがまだ決まらない。通常の裁判では行わないような確認を、裁判所が堀口くんに対して行っている模様。 2024/03/09ライブ配信補助参加申出に対する異議申出書 2024/03/13ライブ配信提訴から三ヶ月以上立っているのに最初の期日すら決めることができない状況。前代未聞。裁判所は堀口くんと話し合って確認したい事があるようだが、話合いができてない雰囲気。被告の立場であるし、今は何もできずに待たされている。 2024/04/15ライブ配信停学中上申書が提出される。 2024/04/29ライブ配信の15m50sじつは、海外在住者に対する担保提供申立を行っていた。海外在住が本当なら担保を払ってすぐに裁判が始まるが、未だに返事がきておらず裁判が始まっていない。仮に海外在住がウソと分かって代理人を受けていた場合、その代理人は弁護士バッジがなくなる事になる。 2024/05/05ライブ配信の12m18s住民票をウソで抜いていたら刑事罰になる。その旨を堀口くんの弁護団に対して裁判書面として出して確認していた。停学中上申書が出てきたのは、本人の言葉を信じただけで、弁護団は知らなかった事にする流れと思われる。 地裁 原告:堀口英利被告:google社補助参加:暇空茜 発信者開示訴訟2024/02/22 暇空氏補助参加 ▶ 地裁 被告:堀口英利 名誉毀損(読解力がないツイート)、他 2024/02/28敗訴原告請求棄却※控訴 ▶ 2023/08/24note(定価¥500拡散割引¥300)訴状 2023/10/28note(¥500)被告答弁書超速、次回結審 2023/11/16ライブ配信note(定価¥500拡散割引¥300)訴えの変更申立書※下記の堀口くんnoteを元に請求が追加されました10/29魚拓、11/2魚拓 2023/11/20ライブ配信閲覧等の制限の申立て事件の決定書面※堀口くんが裁判公開原則を無視して情報を隠蔽しようとするも、裁判所から認められなかった話です。 2023/12/14ライブ配信note(定価¥1,500拡散割引¥1,000)訴えの変更申立書2023年11月15日※11/16配信と同じ内容で、裁判所受付印があるものです被告準備書面①原告準備書面①被告準備書面②訴えの変更申立書2023年12月1日※ツイート1、2を元に請求が追加されました被告準備書面③ 2024/02/28 堀口くんnote魚拓(判決文あり)2024/02/28 控訴は検討中2024/02/28 別に別訴はやる2024/03/08 控訴決定 2024/03/09note(¥0)判決:敗訴↓の控訴へ続く 高裁 被告:堀口英利 名誉毀損(読解力がないツイート)、他 ▶ 地裁 被告:堀口英利 名誉毀損(別件) ▶ 地裁 被告:千尋 名誉毀損(カルト献金ツイート) ▶ 2023/10/02note(定価¥200拡散割引¥100)訴状 2023/12/07note(定価¥800拡散割引¥500)被告&原告準備書面①中川卓弁護士が法テラスで受任 2024/01/30note(定価¥200拡散割引¥100)被告準備書面②※被告代理人体調不良のため今回で主張を出しきれず、次回も被告のターンから 2024/03/10note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面③被告の主張する芯となるところすらしっかりしてない 2024/05/10note(定価¥500拡散割引¥300)原告準備書面②被告準備書面④原告準備書面③裁判所では好きなことを主張していい 地裁 被告:谷家幸子 名誉毀損(カンパ見せ金ツイート)、他 ▶ 2024/01/24note(定価¥500拡散割引¥300)訴状 2024/05/06note(定価¥500拡散割引¥300)被告準備書面①証拠説明書(乙1〜78)法的な主張が明確でない事を裁判官に指摘されるような書面 地裁 被告:羽鳥だいすけ 名誉毀損(アニメイト最低だなツイート) ▶ 2024/02/05note(定価¥500拡散割引¥300)訴状2024/03/09 答弁書が本人書面 地裁 被告:勝部元気 名誉毀損(ミソジニーオブザイヤー2023)2024/03/06 代理人は神原弁護士 ▶ 2024/02/06note(定価¥500拡散割引¥300)訴状 地裁 原告:ヨッピー 名誉毀損(不適切なステマ指摘)2024/03/04 提訴された報告2024/03/04 陳述は4月とか5月の予定2024/03/04 代理人は清水陽平弁護士 ▶ 2024/05/11note(定価¥800拡散割引¥500)訴状被告準備書面①お金はもらってないからステマではない(保育士は無償で派遣) 地裁 被告:カルピス1号 名誉毀損(天ぷら食事5chスレ建て) ▶ 2024/05/03note(¥0)開示済み、示談拒否のため提訴予定代理人伊久間弁護士伊久間弁護士からの通知書(開示された人と投稿者は別人)投稿者のスレ建て一覧AP意見照会の回答書2通目の意見書訴外の参考書面:横浜簡裁の補助参加異議申立書避難所と思われる陳述書 番外編 裁判所 原告および被告 訴因 判決 リスト再生 動画1 動画2 動画3 動画4 動画5 動画6 動画7 動画8 動画9 地裁 原告:学習院OB被告:堀口英利 学習院告発サイト削除仮処分申立て 2023/12/27仮処分発令間接強制金1日3万円 2023/12/08ライブ配信その1後半note(定価¥800拡散割引¥500)原告書面①&② 2023/12/15ライブ配信その12023/12/15ライブ配信その2※12/1期日の状況報告です※通常の仮処分の期日は一回だけで、後日結果が出ます。 2023/12/18note(定価¥500拡散割引¥300)仮処分申立書2023/12/18ライブ配信その12023/12/18ライブ配信その2※12/18期日の状況報告です 2023/12/19ライブ配信学習院仮処分裁判ここまでの振り返り 2023/12/25ライブ配信note(定価¥1,500拡散割引¥1,000)被告書面⑥&⑦の要約版原告書面③※当日中に担保金の振込まで完了し、仮処分発令が進行中 2023/12/27ライブ配信ショート動画仮処分発令 仮処分発令後に、被告書面⑧および追加の管理人メールが提出されていた事が判明2024/04/11被告書面⑧ツイート、ライブ35m05s〜、note(定¥500割¥300)2024/04/15管理人メールツイート1、2、ライブ、note(定¥150割¥100) 間接強制金の差押えが発動2024/04/22ライブ配信 差押え発表2024/04/23ライブ配信 金額発表2024/04/23ライブ配信 変則的な手続きの解説 地裁 原告:学習院OB(仮処分1とは別人)被告:堀口英利 学習院告発サイト削除仮処分申立て2 2024/02/09ライブ配信学習院告発サイトが2/4に消えたものの2/8に復帰した事を受けて間接強制金1日5万円のおかわり仮処分を2/9に申立てた事を発表これが通ると間接強制金は1日8万円となる 2024/02/15ライブ配信2/14に債権者期日があった2/28にweb期日がある(堀口くんは電話か書面で参加可能)2024/02/27 被告希望で期日が3月25日に延期2024/03/04 被告書面締切りは3月18日2024/03/19 締切り1日遅れで被告書面が提出される1、2、3 2024/03/22ライブ配信note(定価¥800拡散割引¥500)被告書面①の内容紹介 2024/03/25ライブ配信note(定価¥500拡散割引¥300)弁護団からのリーガル報告書 2024/04/17ライブ配信原告書面の解説(書面販売はありません)告発サイトは重要な部分が真実ではない(プライバシーに関わる証拠を添えて) 2024/04/23ツイート1、2期日速報裁判官交代(年度跨ぎの異動のためと思われます)次回5月23日2024/04/26ライブ配信4/23期日内容の堀口くん解釈と暇空氏解釈 地裁 原告:学習院OBら被告:堀口英利 学習院告発サイトに係る本訴訟 2023/12/15ライブ配信その1の3m46s訴訟予定が存在する事を言及 2024/02/15ライブ配信2/14に提訴訴額1,040万円
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刑事訴訟法(昭和23年7月10日法律第131号) 最終改正:平成28年6月3日法律第54号 ※最終改正までの未施行法令あり。 刑事訴訟規則(昭和23年12月1日最高裁判所規則第32号) 最終改正:平成28年4月7日同第4号 刑事訴訟法 平成11(1999)年 通信傍受法成立。 平成12(2000)年 大幅改正&犯罪被害者保護法成立。 平成16(2004)年 裁判員制度、被疑者国選弁護制度他。 平成17(2005)年 即決裁判手続き他。 平成19(2007)年 被害者参加制度、損害賠償命令他。 平成22(2010)年 公訴時効改正。(平成22年4月27日法律第26号) 平成23(2011)年 記録付差押え命令等。(平成23年6月24日法律第74号) 【基本書】 〔メジャー〕 宇藤崇・松田岳士・堀江慎司『刑事訴訟法(LEGAL QUEST)』有斐閣(2012年12月)……京大の鈴木茂嗣門下による共著テキスト。判例・通説をそつなく紹介しており、判例分析はとりわけ詳しい。重要な41判例の要旨を掲載しているのも特徴的である。各制度の理論的根拠を示しつつ、個々の要件解釈にもきちんと触れているため、全体的に完成度が高い。特に、堀江執筆の証拠法は白眉である。全体の分量が増えすぎることのないように削らなければならなかった記述も少なくない(はしがき)とのことであり、情報量は、詳細な体系書と有斐閣アルマの中間といったところであろう。捜査・公訴・証拠パートは詳しいが、その他の手続の記述はそれほど厚くないので、コンメンタールや講義案と併用するとよいだろう。A5判、562頁。 上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2015年2月・第4版)……著者は「はしがき」で司法試験受験生用の教科書として執筆したと明言している。「迷宮」となりやすい、訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力等では、基礎から詳述している。受験生向けに基礎から丁寧に説かれている親切な本である。もっとも、記述の粗さや判例の理解の不正確さなどの難点も指摘されている。A5判、676頁。 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2014年12月・第5版)……最高裁調査官や高裁長官も経験した元刑事裁判官と刑事法学者による共著。通称「イケマエ」。捜査における人権侵害や冤罪の発生は、国民全体の利益を最大化するためにはやむを得ないという独特の立場を採る。しばしば本書の見解が「実務」の見解の代表であるかのように誤解されるが、著者の法解釈は判例・実務とイコールではなく、時代遅れの部分もあるので注意されたい。「裁判員裁判導入前」の典型的な検察官寄り裁判官と警察の御用学者による警察・検察寄りの著書という意識をあらかじめ持った上で読めば、有用であろう。判例を豊富に取り上げているため、初学者が手を出しやすいが、理論的な精緻さに欠け、判例の分析も独自色が強いため、本書で採られている見解が「判例」であると思考停止に陥ることは危険である。A5判、582頁。 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法(有斐閣アルマSpecialized)』有斐閣(2015年4月・第4版)……定評あるスタンダードなテキスト。基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクトに穏当な見解でまとめられている。記述が平板であることから、最初の一冊としては向かないかもしれないが、薄いながらも情報が凝縮されていることから、まとめ本として好適である。なお、全体的に穏当な見解でまとめられた本書にあって、寺崎執筆にかかる訴因論は、説得的な理由づけもなしに独自説を全面に押し出してきており、非常に分かりづらいため、この部分だけは他の本で補充すべきである。有斐閣ケースブックや『演習刑事訴訟法』などの発展学習へのつながりが良い。四六判、422頁。 〔その他〕 酒巻匡『刑事訴訟法』有斐閣(2015年11月)……東大系学者による久々の単著。法学教室での連載(「基礎講座・刑事手続法を学ぶ(1)~(26・完)」)に大幅な加筆をして書籍化された。判例の規範分析の緻密さと分厚い自説論証が特徴の最高水準の体系書。刑訴法の解釈にとどまらず、憲法の刑事手続関連条項をふまえると、どこまでの法改正が許されるのかという立法論まで言及しているのも本書の特徴の一つ。酒巻説自体は東大系主流学派の学説を盛り込んだいわゆる学界通説に近い。A説、B説があって、自説はこれであるという論述スタイルをとらず、したがって、他説紹介はほとんどない。学説「名」の紹介は一切なく、脚注もないためオリジナルの文献に遡るのが困難であること、上訴・再審の記述が薄いことが難点。H28刑訴法改正法律案に対応。A5判、659頁。 裁判所職員総合研修所監修『刑事訴訟法講義案』司法協会(2015年12月・4訂補訂版)……通称『総研』または『講義案』。裁判官による書記官向けの本だけあって、実務寄り。条文・定義・手続を淡々と説明している。証拠法には定評があるが、捜査が非常に薄く、他の本での補充が必須である。その場合には、同じく実務寄りの幕田英雄『実例中心 捜査法解説』東京法令出版(2012年7月・第3版)など、実務の立場から書かれた書籍を用いるとよいだろう。A5判、564頁。 田口守一『刑事訴訟法』弘文堂(2012年3月・第6版)……西原門下。かつての定番書。刑訴法全体をコンパクトな記述で網羅的に解説している。見解も比較的穏当である。しかしながら、コンパクトな記述ゆえに理論的な深みに欠け、論点の掘り下げは浅い。また、訴因論で独自の見解が採られている、判例の引用数こそ多いが最新の基本書と比べると判例分析が甘い等の短所も指摘されている。前述のように論点の掘り下げが浅く、試験頻出の論点についても記述が薄い箇所があるため、本書をメインの基本書として利用する場合は、他の参考書などを併用して適宜補充することが重要である。A5判、522頁。 渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2013年3月・第2版)……西原門下。田口の弟弟子。ロースクールの実務家教員による司法試験受験生向けの教科書。田口と同門ということもあってか、田口の記述を敷衍したような内容となっており、基本事項・重要論点の解説・系統立ても田口より丁寧である。第2版は、コアカリキュラム対応を売り文句にしている。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのがよい。同著者が重要論点を抽出して解説したものとして『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・第2版)がある。A5判、684頁。 安冨潔『刑事訴訟法』三省堂(2013年6月・第2版)……はしがきにあるように修習生や若手弁護士も読者として意識していることから、情報量が類書と比べ圧倒的に多い。辞書としての使用が主になるだろう。増刷の際に改訂頻繁。B5変型判、712頁。 安冨潔『刑事訴訟法講義』慶應義塾大学出版会(2014年9月・第3版)……上記著者による通読向きの概説書。2色刷り、図表多用。第3版では、各章末に「論点とまとめ」と題された予備校の論証カードのようなものが新たに付され、学者の書いた予備校本といった趣がますます強くなった。A5判、480頁。 白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2015年9月・第8版)……田宮孫弟子。白取説は徹底して被疑者寄りの少数説で貫かれており、本書では、実務の世界からおよそかけ離れた独自の白取ワールドが展開されている。そのため、初学者がいきなり本書に手を出すのは避けたいところである。もっとも、判例・通説・実務の現状や原理・原則をある程度踏まえた上での展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。判例・通説をあらかじめしっかりと理解したうえであれば、本書に手を出してみるのもよかろう。また、著者が少数説を採っているということもあってか、学説の紹介に詳しく、調べものなどの役には立つ。捜査や公判については詳細であるが、証拠法ことに自白の記述が弱い。A5判、592頁。 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2013年7月・第3版)……白取と同門。アルマの共著者の一人。イラストや図表を豊富に使用し(アンパンマンのイラストが使われていることは有名)、重要な用語には適宜マークを付すなど、視覚的な工夫を随所に散りばめた予備校本を思わせるビジュアルが特徴的である。もっとも、肝心の内容は、判例や通説の論理に対して徹底的な批判を加える一方で、説得的な理由付けもなしに独自色の強い自説を延々と展開するなど、読者の混乱を招きかねないものとなっているため、注意が必要である。長所としては、論点および学説を豊富に取り上げており、他の基本書においてはあまり取り上げられることが少ない論点およびその意義について、学生と教授という設定で、ダイアローグ演習形式によって詳しく解説している点があげられる(なお、女子学生F子の独特の口調のせいで、非常に読みづらいものとなっている)。A5判、582頁。 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2012年6月・第5版)……非常に分かりやすく読みやすい叙述であり、判例の正確な紹介と批判、学説の位置づけの的確さ等に定評がある。また、バランスのとれた解釈なので、試験的には使いやすい。A5判、570頁。他にも著書多数。『刑事訴訟法』有斐閣プリマ(2012年10月・第7版)、『刑事訴訟法学入門』成文堂(2002年4月・第3版)、『刑事法学入門』法律文化社(2004年2月・第2版)、『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2013年4月・第2版)。 渡辺修『基本講義 刑事訴訟法』法律文化社(2014年9月)……A5判、318頁。(評価待ち。) 平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月,2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ」と読む。旧著『捜査法』(2000年4月・第2版)の改訂版ではなく、全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習者向けテキスト。旧著よりもページ数は減ったが、内容の密度は増した。また、文字のポイントの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』は総研との組合せで用いると良いとの声あり。A5判、278頁・343頁。 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という帯がついている。前半はレジュメそのままであり、重要事項であっても説明が軽く流されてしまっているが、途中から説明が丁寧になり詳細な理由付けがなされていくという不可思議な本である。といってもレジュメ形式で書かれていることには変わりなく、やや読みづらい。渥美を擁した中大系ではあるが、特に渥美説を採るわけでもなく、判例・実務よりである。下手な基本書よりは使える。A5変型判、432頁。 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2012年3月・第2版)……元最高検検事による教科書。検察よりの立場。捜査法が詳しい。A5判、448頁。 加藤康榮『マスター刑事訴訟法』立花書房(2012年10月・改訂版)……平成23年改正に対応。A5判、448頁。 加藤康榮・滝沢誠・宮木康博・三明翔『ケース 刑事訴訟法』法学書院(2013年9月)……A5判、333頁。 大久保隆志『刑事訴訟法(法学叢書)』新世社(2014年4月)……元検察官による体系書。実務の一端を知るには有用だが、試験には使いにくい。身柄拘束中の被疑者取調べにおいて、出頭・滞留義務を否定しつつ取調べ受忍義務を肯定する異説を採る。A5判、480頁。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法(有斐閣Sシリーズ)』有斐閣(2013年3月・第5版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすい本とはいえない。四六判、360頁。 小林充原著、植村立郎監修、前田巌改訂『刑事訴訟法』立花書房(2015年5月・第5版)……故小林充(元仙台高裁長官)の著書を前田巌(元最高裁調査官)が補訂し、植村立郎(元東京高裁部総括判事・弁護士)が監修者補注を付したもの。取調べ受忍義務肯定説、別件基準説、証拠能力付与説などいわゆる実務説を採っており、「説得力と安定感ある論証・叙述」(改訂者あとがき)となっている。学説対立の記述はあっさりしており、東大系学説(出頭滞留義務・取調べ受忍義務区分説、実体喪失説、伝聞性解除行為説など)への言及はない。論点は広く浅く(時には深く)拾っており、判例もコンパクトにまとめていることから、まとめ用に向いている。その反面、記述があっさりしているため、初学者にはとっつきにくいかもしれない。A5判、416頁。 ☆亀井源太郎・岩下雅充・堀田周吾・中島宏・安井哲章『プロセス講義刑事訴訟法』信山社(2016年6月)……平成28年5月に成立した刑訴法改正法案の改正ポイント解説を適宜織り込んだ最新テキスト。A5変型判、460頁。 【その他参考書】 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19・完)」(法学教室連載・283号~306号)……松尾浩也・井上正仁門下。捜査法・訴因論の重要論点について、近時の理論を学生向けに説明。通称「酒巻連載」(法学教室355号~394号に連載された「基礎講座・刑事手続法を学ぶ(1)~(26・完)」と区別するために「酒巻旧連載」とも呼ばれる)。証拠法はほとんど扱っていないため、本連載のみでの学習は困難である。なお、教科書出版のための連載であったが、未だに出版予定はない。各回の目次など→雑誌連載・企画 緑大輔『刑事訴訟法入門(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2012年11月)……後藤昭門下。書名に"入門"とはあるが、入門書というよりもむしろ、既に一通り基礎知識を修得した学生向けの論点解説書といった方が適当である。基礎から応用へのステップアップとして非常に有用であり、本書を読み通すことができれば、かなりの力がつくことは間違いない。A5判、340頁。 井上正仁『強制捜査と任意捜査』有斐閣(2014年12月・新版)……大家の手になる捜査法に関する論文集。捜査法における最重要文献の一つ。新版の改訂にあたっては、新たに3つの論文が追加され、既収録の論文についても、判例や文献がアップデートされるなど加筆修正が施された。捜査分野における諸論点を重要判例とともに詳細に解説している。論文集ではあるが、収録されている論文には百選や争点に掲載されたものも含まれており、また、法学教室413号の書評で「しっかり刑事訴訟法を学ぶには最適の教材」と評されていることからも、試験対策としても得るところがあるだろう。A5判、526頁。 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』創文社(1967年・7訂版)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された初版は、実務家に広く受け容れられ、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今でもなお團藤説(権力分立・適正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残していると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なり、もはや学界で支持されることはほとんどないが、平野説と並び、ほとんどの文献における記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献のひとつであることに間違いはなく、名著である。 平野龍一『刑事訴訟法』有斐閣(1958年12月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月章『民事訴訟法』と並び称される不朽の名著。アメリカ寄りの体系に立ち、團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の礎として、團藤・上掲書と双璧をなす存在となっている。訴因論などは、今でも一読の価値がある。A5判、373頁。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年)もあるが、平野説に触れたい場合には、より詳細な本書を読むべきであろう。 平野龍一・鬼塚賢太郎・森岡茂・松尾浩也『刑事訴訟法教材』東大出版会(1977年9月)……小説立ての教科書。平野がハーバードに留学した際にアメリカの証拠法の教科書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通しているため、非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習書としての機能も備えている。読み物としても面白い。出版されてから大分経つが、今なお亀井源太郎等が参考書として挙げている。 松尾浩也『刑事訴訟法上・下(法律学講座双書)』弘文堂(上 1999年11月・新版,下 1999年3月・新版補正第2版)……2冊組。著者は「精密司法」という用語の発案者であり、ここからもうかがえる通り、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、アメリカ寄りにもなっておらず、わが国の刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとにらせん状に手続過程を辿っていく形になっている。網羅的で記述にムラがない分、いわゆる重要論点の論述も相対的に薄くなっている。文章は、客観的かつ平易で極めて読みやすいが、かなり考えられた上で書かれているため、早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はないが、新しい判例との親和性はおおむね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11と松尾上261頁以下を比較してみれば分かる)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的に最も頼れる基本書と言えよう。A5判、360頁・400頁。なお、2004年までの法・規則改正に関する補遺は、弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつわかりやすい記述が特徴。特に、伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴であるが、本書は、教科書という特性から、わが国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務から離れているわけではない。新しい強制処分説、違法排除説で有名。1998年12月までの動向が補訂され増刷されたものの、1999年に著者が他界し、それ以後の新判例、法改正、論点については記述がなく、近時、急速な判例・立法の進展により、古典としての性格を強めつつあるが、今でも副読本として根強い人気がある。A5判、588頁。 鈴木茂嗣『刑事訴訟法(現代法律学講座)』青林書院(1990年4月・改訂版)……A5判、394頁。 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。A5判、622頁。 三井誠『刑事手続法(1)・2・3・(4未刊)』有斐閣(1997年6月・新版,2003年7月,2004年5月)……「4」は未刊。法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。B5判、216頁、A5判、490頁・444頁。 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…著者は2014年に逝去。反実務・反通説を求めるならば、渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。『渥美刑訴』とも称される独自の体系・用語法、またその日本語表現を問題視する声が多く、司法試験の基本書にはまったく向かない。したがって、読むならば司法試験合格後ということになろうが、上記のとおり反実務・反通説を貫く本書を修習中に読破することの意義もまた見出し難い。もっとも、渥美説そのものはなかなか面白いので、純然たる趣味と割り切ってその晦渋な文章と付き合うならば、良き思い出ともなろう。A5判、688頁。 光藤景皎『刑事訴訟法I・II』『口述刑事訴訟法下』成文堂(2007年5月,2013年7月,2005年11月)……名前の読みは「みつどう・かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、上・中は「刑事訴訟法I、II」として改訂。下(上訴・再審)の改訂は、今のところ未定。旧司法試験時代から、証拠法分野には定評がある。IIの証拠法パートでは、アメリカ証拠法の判例・学説を多数引用しており、参考になる。自説は基本的に人権尊重であるが、判例の分析はきちんとしており役に立つ。A5判、390頁・332頁・150頁。 井上正仁・酒巻匡編『刑事訴訟法の争点(新・法律学の争点シリーズ 6)』有斐閣(2013年12月)……B5判、208頁 川崎英明・白取祐司編著『刑事訴訟法理論の探究』日本評論社(2015年6月)……法律時報誌の連載をもとに、新たな立法・判例の動きを踏まえた最新の理論書。東大系学説及び判例実務説に対して、非東大系学者が批判的検討を加えるというスタイル。判例通説の学修では飽き足らない人向け。A5判、272頁。 ☆川崎英明・葛野尋之編『リーディングス刑事訴訟法』法律文化社(2016年4月)……現在の判例・学説のもととなった基本的な文献を端的に紹介することで、日本の刑事訴訟法学が蓄積してきた知の目録を俯瞰し、現在の、また今後の刑事訴訟法学の基礎としての到達点を個別領域ごとに確認・提示・継承。A5判、432頁。 (実務関連書) 石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規出版(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分実務の運用や判例の引用が多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かないが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。A5判、1510頁。 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。A5判、472頁・333頁。 高麗邦彦・芦澤政治編『令状に関する理論と実務I,II(別冊判例タイムズ34,35号)』判例タイムズ社(2012年8月,2013年1月)……令状関連実務について実務家が解説。全2冊。I・・総論、逮捕・勾留。II・・保釈・鑑定留置等・勾引・捜索・差押え・検証等・準抗告・抗告。 石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。もっとも、記述があまりにも実務的かつ各論的すぎるので、司法試験受験生が読みこなせる本ではない。本書を玩味して理解を深めることのできる者は、既に合格水準を優に超えているといえるので、使いどころが難しい。A5判、600頁。同著者の論文集として、『刑事訴訟の諸問題』判例タイムズ社(2014年6月)A5判、720頁。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。『刑事証拠法の諸問題上』所収の三好幹夫「伝聞法則の適用」は、伝聞法則を理解するのに有用。 司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2016年6月・平成27年版)…司研テキスト(白表紙)。「隠れた名著」とも言われるが、本書はあくまで司法試験に合格した者に対して「実務的」な知識を習得させることを目的とした書籍である。そのため、全体として試験範囲との齟齬は否めない。司法試験と重複する箇所につき参考書として利用することはできるが、いわゆる基本書としての使用は難しいであろう。「司法研修所」という言葉や「検察実務」という雰囲気に変な期待を持つべきではない。予備試験の刑事実務科目や口述対策に役立つとの評価もある。A4判、230頁。 渡辺咲子『任意捜査の限界101問』立花書房(2013年8月・5訂)、廣上克洋編『令状請求ハンドブック』立花書房(2014年6月)……実務家(捜査官)向けの捜査法のQ A集。B6判、224頁。令状請求ハンドブックは、司法研修所検察教官室の公式本で『令状請求の実際101問』の改訂版。任意捜査と強制捜査の実際を知るためには有益である。A5判、272頁。 【入門書】 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2014年3月・第6版)……入門書の定番。最初に条文とともに読むべき1冊。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。A5判、402頁。 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2014年3月・第7版)……元検察官による入門書。基本書としても使えないこともないが、メインの基本書として据えるには、やや心許ない。197条から国民の捜査協力義務を導くなど、独特な記述も散見されるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調で非常に分かりやすい。書式が豊富。A5変型判、400頁。 福井厚『刑事訴訟法(プリマ・シリーズ)』有斐閣(2012年10月・第7版)……四六判、468頁。 福井厚『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2013年4月・第2版)……A5判、314頁。 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。訴因論については大澤裕が担当しており、分かり易い。訴因論がどうしてもわからないという人や、訴因論で特異な見解が採られている基本書を使用している人は、大澤執筆箇所だけでも読むとよい。四六判、300頁。 椎橋隆幸編『プライマリー刑事訴訟法』不磨書房(2016年3月・第5版)……A5変型判、384頁。 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法』法律文化社(2007年11月)……A5判、320頁。 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。A5判、284頁。 裁判所職員総合研修所監修『刑事訴訟法概説』司法協会(2012年9月・3訂補訂版)……A5判、120頁(本文103頁)。 水谷規男『疑問解消 刑事訴訟法(法セミ LAW CLASS シリーズ)』日本評論社(2008年3月)……A5判、272頁。 安冨潔『やさしい刑事訴訟法』法学書院(2013年4月・第6版)……A5判、303頁。 渡辺直行『入門 刑事訴訟法』成文堂(2013年9月・第2版)……刑事手続きの全体像を鳥瞰した入門書。「です・ます調」で書かれている。基本的用語について、できる限りその定義を明らかにしており、初めて刑事訴訟法を学ぶ法科大学院未修者や学部学生向けの本である。A5判、372頁。 小木曽綾『条文で学ぶ刑事訴訟法』法学書院(2015年1月)……A5判、230頁。(評価待ち) 廣瀬健二『コンパクト刑事訴訟法(コンパクト法学ライブラリ)』新世社(2015年4月)……著者は、田宮裕門下の元刑事裁判官。特徴は「判例・通説に則ったうえ、私の実務経験を盛り込んで実務の実情を踏まえて概説」(はしがき)しているところであり、本文291頁とコンパクトながらも、主要な論点はほぼ網羅している。基本的に田宮説に依拠し、新しい強制処分説(ただし、盗聴等の権利侵害性の重大なものについては立法による規制を要するとする。この立場が判例実務により整合的であるとされる)、本件基準説、違法排除説を採るが、実体喪失説にも言及している。記述は平板であるが、小文字フォントを使い分けているため、初学者もメリハリをつけて読むことができる。ただし、条文を読めばわかる箇所は記述を省略していること、判例の引用数は多いものの判決内容の引用は少ないことから、六法や判例集に当たることが必要である。まとめ用として好適である。四六判、352頁。 加藤康榮編著、城祐一郎・阪井光平著『警察官のためのわかりやすい刑事訴訟法』立花書房(2015年9月)……警察官向けの概説書。コンパクトに刑事手続を巡る最新の動向や法改正のポイントを盛り込みつつ、捜査に関連する重要事項や判例を解説。 A5判、320頁。 【コンメンタール】 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2009年12月・第4版〔☆2016年12月頃に4版増補版を刊行予定あり〕)……実務家必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で合議して匿名執筆しているのが特徴で、そのため記述内容に安定感がある(顕名執筆の大コンメンタール刑事訴訟法や注釈刑事訴訟法と比べると比較的客観的な記述である。)。第3版から実質6年ぶりの改訂となり、第3版増補版から168頁増量され、被害者参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基本的に省略している。さらに、文字ポイントが小さく、情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解釈を丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば、大いに力を発揮する。執筆陣も豪華で信頼性が高く、新基本法コンメンタールが出た現在でも、実務家が最初に参照するのは本書であろう。ただし、受験生が使うには、価格の面で新基本法コンメンタールの方に分がある。A5判、1272頁。弘文堂HPにてH22,23改正についての追補PDFをダウンロードすることができる。 三井誠ほか編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2014年4月・第2版)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されている。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計15本。弁護人の立場からの提言14本+三井によるエッセイ的コラム1本)。『条解』と比べると、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。『条解』とほぼ同じ記述の箇所が多々みられる。第2版ではH25年までの法改正に対応。B5判、704頁。 後藤昭・白取祐司編『新・コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2013年9月・第2版)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。2010年7月に刊行した初版をベースに、2012年までの法改正や新判例を反映したとされている。A5判、1228頁。 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となってはさすがに古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。新書判、544頁。 河上和雄・中山善房・古田佑紀・原田國男・河村博・渡辺咲子編『大コンメンタール刑事訴訟法〔全11巻〕(予定)』青林書院(第1巻:2013年2月・第2版、第2巻:2010年9月・第2版、第3巻:2010年7月・第2版、第4巻:2012年4月・第2版、第5巻:2013年2月・第2版、第6巻:2011年4月・第2版、第7巻:2012年10月・第2版、第8巻:2011年12月・第2版、第9巻:2011年4月・第2版、第10巻:2013年9月・第2版、第11巻:年月・第2版)……これまでに蓄積された膨大な判例・学説を集大成した一大コンメンタール。公判前整理手続,即決裁判手続,裁判員制度,被害者参加制度の創設など,初版刊行後数次に渡る法改正と判例・学説の最新動向をつぶさに取り入れる(出版社の案内より)。本邦最高峰の大型コンメンタール。図書館での調べ物用。顕名形式であるため記述にややムラがあり、とくに検察官執筆部分において客観性に疑問のある記述がないではない。A5判、第1巻〔第1条~第56条〕:688頁、第2巻〔第57条~第127条〕:526頁、第3巻〔第128条~第188条の7〕:560頁、第4巻〔第189条~第246条〕:936頁、第5巻〔第247条~第281条の6〕:516頁、第6巻〔第282条~第316条〕:560頁、第7巻〔第316条の2~第328条〕:824頁、第8巻〔第329条~第350条の14〕:480頁、第9巻〔第351条~第434条〕:858頁、第10巻〔第435条~第507条〕:514頁、第11巻〔刑事訴訟特別法〕:頁。 河上和雄・小林充・植村立郎・河村博編『注釈刑事訴訟法〔全8巻〕(予定)』立花書房(第1巻:2011年5月・第3版、第4巻:2012年8月・第3版、第6巻:2015年4月・第3版、第7巻:2012年10月・第3版)……第6巻(2015年4月・第3版)について、10年ぶりの全面改訂。新版発刊以降の法改正・制度改革等を織り込み,実務の動向を正確に記述することを主眼に,実務を支える理論的な支柱を実務の内側から明らかにする(出版社の案内より)。大コンメンタールと同じく顕名形式をとるが、こちらは一家言ある裁判官執筆部分の記述内容が特徴的であり、大コンメとは若干趣を異にしている。A5判、第1巻〔第1条~第56条〕:706頁、第4巻〔第271条~第316条〕:634頁、第6巻〔第317条~第350条の14〕:890頁、第7巻〔第351条~第418条〕:642頁。 井上正仁監修、河村博・酒巻匡・原田國男・廣瀬健二編集代表、大島隆明・三浦守編集委員『裁判例コンメンタール刑事訴訟法〔全4巻〕(予定)』立花書房(第1巻:2015年4月)……A5判、第1巻〔第1条~第188条の7〕:720頁。第2巻〔第189条~第270条〕:予定、第3巻〔第271条~第350条の14〕:予定、第4巻〔第351条~第507条〕:予定。 【判例集・ケースブック】 井上正仁ほか編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2011年3月・第9版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされているので、司法試験受験生は、事案と判旨のみならず、解説まで読み込むべきである。101件+アペンディックス41件を収録。B5判、260頁。 三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2015年6月・第5版)……圧倒的な判例の掲載数。解説は皆無。判例百選の重要判例を本書で詳細に検討する読み方が、司法試験受験生には有益であろう。A5判、770頁。(第5版については評価待ち。) 葛野尋之・中川孝博・渕野貴生編『判例学習・刑事訴訟法』法律文化社(2015年11月・第2版)……若手から中堅の研究者による判例教材。取り上げられた判例は、102件。これらの判例について、主に論点と結論→事実の概要→法の解釈→法の適用→コメントという順番で書かれている。法の解釈・法の適用・コメントは、論文の際のあてはめに有用であると思われる。B5判、350頁。 ☆川出敏裕『判例講座 刑事訴訟法〔捜査・証拠篇〕』立花書房(2016年4月)……警察学論集誌上での全25回にわたる同名連載に追加・修正を施して単行本化したもの。捜査法及び証拠法に関する重要なテーマにつき判例を素材に検討。警察幹部向けの連載ということもあって判例の緻密な分析がなされており、判例の内在的な理解を深めることができる。必要な限度において学説の解説も行われており、控えめながらも自説主張がないわけではない(わかる人にはわかる内容)。全体的に極めて明快かつ論理的な文章で書かれており読みやすい。訴因論は含まれていないものの、捜査法と証拠法に関する重要論点はほぼ網羅されており、司法試験の論文対策として非常に有用であると思われる。A5判、512頁。 平良木登規男・椎橋隆幸・加藤克佳編『判例講義 刑事訴訟法』悠々社(2012年5月)……刑訴法学者24名が執筆。平成21年9月までの187判例を収録。 前田雅英・星周一郎『刑事訴訟法判例ノート』弘文堂(2014年3月・第2版)……A5判、418頁。 河上和雄『刑事訴訟法基本判例解説』東京法令出版(2008年6月・改訂版)……警察官の実務に特に関連が深い重要判例を精選し、初版以来の73件に、最新判例24件を追加。A5判、280頁。 渥美東洋・椎橋隆幸編『刑事訴訟法基本判例解説』信山社(2012年11月)……203件の重要判例を199項目に分け、1項目ごとに見開きで解説。A5変型判、432頁。 ☆田口守一『最新重要判例250 刑事訴訟法』弘文堂(2016年7月)……単独著者による1頁に1判例の判例ガイドシリーズの「刑事訴訟法」版。最新の重要判例を中心に251判例を収録。B5判、300頁。 〔ケースブック〕 井上正仁・酒巻匡・大澤裕・川出敏裕・堀江慎司『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2013年10月・第4版)……設問には難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。B5変型判、720ページ。 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2012年4月・第3版)……A5判、674頁。 加藤克佳ほか編『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版)……B5判、268頁。 後藤昭・白取祐司『プロブレム・メソッド刑事訴訟法30講』日本評論社(2014年8月)……はしがきにもあるように、上記『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』を発展させた事実上の後継シリーズ。独習向きではない。A5判、488頁。 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というよりは判例集的な性格が強い。 〔その他〕 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』信山社(2009年8月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うことで判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケースブックである。A5変型判、432頁。 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~340号、全18回。連載打切り)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論との勉強に有用。 【演習書】 古江賴隆『事例演習刑事訴訟法(法学教室ライブラリィ)』有斐閣(2015年3月・第2版)……著者は元検事。法学教室の連載の単行本化。第2版では、3問追加され、既存の問題についても、解説が一層詳しくなった。学生が混乱するポイントについての解説を加えてあるだけではなく、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、参考になる。検察官出身であるが、実務を追認しているわけではなく、近時の判例のみならず、東大系学説の動向(それらの多くは、基本書レベルを超えており、論文等を参照しなければならないので、初学者が理解するのは困難である)をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めて書かれている。主要論点を全て網羅しているわけではないものの、重要論点はほぼカバーしており、演習書というよりも論点集といった趣が強い。また、各設問の解説の後に、参考文献として当該設問に関連する主要な文献が一通り挙げられており、文献ガイドとしても役に立つ。A5判、488頁。 井田良・田口守一・植村立郎・河村博 編著『事例研究 刑事法2 刑事訴訟法』日本評論社(2015年7月・第2版)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした執筆陣が、かなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少ないが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば広い範囲の論点をカバーできる。A5判、412頁。(第2版については評価待ち。) 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2014年3月・第2版)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は、似た問題が本試験でも出るということで評判となっていた。設問はいずれも、近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説もおおむね穏当で参考になるが、ほとんどの設問で事案が判例そのままとなっているため、上級者の実践訓練用としては、やや物足りないかもしれない。全30問。A5判、頁。 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習』立花書房(2008年4月)……検察官派遣教官による捜査法の演習書。憲法解釈や抽象的命題をそぎ落とし、問題をもっぱら刑訴法の条文解釈に局限することで、徹底的に捜査の便宜を重視した解釈論を展開する(同じ検察出身でありながら、古江・演習が主流学派に依拠してバランスの取れた解釈論を展開しているのとは、対照的である)。内容はかなりハイレベルだが、立場の偏りを意識して批判的に取り組めば、相当なレベルアップが期待できる。特に、本書で示されている判例の射程については、著者の見解をたたき台としてよく分析されたい。A5判、424頁。 廣瀬健二編『刑事公判法演習』立花書房(2013年5月)……全国の法科大学院で派遣教員を務める著名な刑事裁判官らが一堂に会し、普通の教科書を読んでいるだけでは学習が難しい公判及び証拠の諸問題について解説している。下記『実例刑事訴訟法』への橋渡し的な位置づけであり、学生向け参考書としては最高水準である。内容はかなり高度であり、きわめて実務的であるが、図表を駆使することで、非常に分かりやすくなっている。特に、訴因や証拠は、しっかりと押さておきたい。各問の解説の後に、参考判例と参考文献(実務家による文献が多い)が掲げられており、参考になる。A5判、386頁。 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法(法学教室ライブラリィ )』有斐閣(2005年4月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題が多く、問題集というよりも論点集に近いが、東大系主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。ただし、解説者によって解説の書き方がバラバラであるため、若干の読みにくさはある。A5判、372頁。 松尾浩也・岩瀬徹編『実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(2012年9月-11月)……定評ある演習書の最新版。執筆陣には、著名な刑事裁判官が名を連ねている。内容はきわめて高度であり、司法修習生向きである。もっとも、司法試験受験生にとっても、気になる論点については一読の価値はある。A5判、416頁・360頁・412頁。 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月)……上記『実例刑事訴訟法』の旧版で旧司時代には種本と呼ばれていた。執筆者は、法曹三者。法改正もあったが、今もなお有用である。A5判、350頁・440頁・370頁。 安冨潔・清水真編『事例演習 刑事訴訟法』法学書院(2013年11月)……A5判、407頁。 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版であったが、オンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文をつけるスタイルは、好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない。 新庄健二『司法試験論文過去問LIVE解説講義本 新庄健二刑訴法(新Professorシリーズ)』辰已法律研究所(☆2016年3月・改訂版)……元東京高検検事・元司法研修所教官。辰已での新司法試験過去問解説講義を書籍化。平成18年から平成27年までの問題を収録。非常に平易な解説がなされている。特に、多くの受験生が苦手にしている伝聞については、記述が具体的かつ詳細で分かりやすい。A5判、452頁。 高田昭正『基礎から学ぶ刑事訴訟法演習』現代人文社(2015年10月)……A5判、464頁。(評価待ち) 田宮裕『演習刑事訴訟法(法学教室選書)』有斐閣(1983年6月)……四六判、374頁。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『基礎演習刑事訴訟法(基礎演習シリーズ)』有斐閣(1996年4月)……四六判、320頁。 小木曽綾監修『設題解説 刑事訴訟法(二)』法曹会(2015年11月)……新書判、320頁。 ☆粟田知穂『エクササイズ刑事訴訟法』有斐閣(2016年3月)……A5判、168頁。(評価待ち)
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〔平成19年改正対応〕 田口守一『刑事訴訟法』弘文堂(2012年3月・第6版)……第5版から横書き・脚注付きに変更。第3版まではコンパクトな記述が特徴だったが、現在では通常の教科書と変わらない厚さになっている。理論的な深みはなく論点の掘り下げも浅いが、無難な見解で基本事項を網羅的に解説しているという意味で(受験的)良書である。判例の引用数も多い。試験頻出の論点についても記述が薄いため、本書を基本書として利用する場合は判例集や演習書での勉強が特に重要となる。旧司法試験の頃から変わらずシェアNo.1の基本書である。 池田修・前田雅英『刑事訴訟法講義』東京大学出版会(2012年2月・第4版)……ほぼ全面的に捜査実務を肯定する立場。国民全体の利益を最大化する刑事訴訟法解釈という独自の視点で書かれている。判例を豊富に取り上げているため初学者が手を出しやすいが、実は判例の分析も独自色が強く荒っぽいため、本書の記述を「判例」と考えて依拠するのはやや危険ではある。 ☆白取祐司『刑事訴訟法』日本評論社(2010年10月・第6版)……田宮孫弟子。平易な記述でコンパクトにまとめてある。判例や法解釈について的確に検討しているほか、刑事訴訟法の運用の歴史や実務の現状についての記述が比較的充実している。自説は徹底して被疑者寄りだが、判例・通説・実務の現状や原理原則をしっかり踏まえた上での展開となっているため、白取説に立たなくても刑事手続について立体的に理解するには有用である。田宮とは相性が良い。 上口裕『刑事訴訟法』成文堂(2010年12月・第2版)……著者は「はしがき」で司法試験受験生用の教科書として執筆したことを明言している。「迷宮」となりやすい、訴因・公訴事実の同一性・伝聞・裁判の効力等では、基礎から詳述。確実に理解する方法を示す。碩学が受験生向けに基礎からみっちり説いた親切な本である。田口に不満を覚える学生を中心に、近時シェアを伸ばしつつある。他に『有斐閣Sシリーズ』(2006年4月)有斐閣、『基礎演習刑事訴訟法』有斐閣(1996年4月) ☆総研『刑事訴訟法講義案』司法協会(2011年5月・4訂版)……裁判所職員総合研修所監修。実務寄り。条文、定義、手続を淡々と説明。証拠法には定評があるが、捜査が薄い(3訂版)。4訂版は評価待ち。 田中開・寺崎嘉博・長沼範良『刑事訴訟法』有斐閣アルマ(2008年4月・第3版)……基本的事項と判例の説明に重点が置かれており、コンパクトに穏当な見解でまとめている。記述が平板なので本書のみでの理解は困難だが、最初の一冊として最適。有斐閣ケースブックや『演習刑事訴訟法』などの発展学習へのつながりも良い。近時シェアを伸ばしてきている。現在改訂作業中(2012年秋発売予定とのこと)。 ☆渡辺直行『刑事訴訟法』成文堂(2011年3月・補訂版)……刑事弁護士による司法試験受験生向けの本。基本事項・重要論点の解説・系統立てが丁寧で、人気が出始めている。実務にあまり重要でない学説・判例等への言及がやや薄いため、判例集・演習書を併用するのが吉。重要論点を摘出して解説したものとして『論点中心 刑事訴訟法講義』成文堂(2005年3月・2版)。田口と同門(西原門下)。 酒巻匡「論点講座・刑事手続法の諸問題(1)~(19)」(法学教室連載・283号~306号)……東大系(松尾弟子)・京大教授・司法試験考査委員。捜査法・訴因論の重要論点について近時の理論を学生向けに説明。「酒巻連載」と呼ばれ受験生に広まりつつある。証拠法は殆どない。各回の目次など→酒巻連載 〔マイナー・平成19年改正対応〕 寺崎嘉博『刑事訴訟法』成文堂(2008年12月・第2版)……「学者の書いた予備校本」との評価と、「理論的でアカデミック」との評価が混在している。論点・学説が豊富に取り上げられている。また、他の基本書においてはあまり取り上げられる事のない論点やその意義について、生徒と教授という設定でダイアローグ演習形式によって詳しく解説しているのが特徴である。取調べ受認義務についての記述は難解(一般的には肯定説といわれるものを否定説としている)。 福井厚『刑事訴訟法講義』法律文化社(2009年5月・第4版)……非常にわかりやく、よみやすい叙述であり、判例の正確な紹介と批判、学説の位置づけの的確さ等に定評がある。またバランスのとれた解釈なので、試験的には使いやすくはある。以下、著書多数。『刑事訴訟法』有斐閣プリマ(2009年4 月・第6版)、『刑事訴訟法学入門』成文堂(2002年4月・第3版)、『刑事法学入門』法律文化社(2004年2・第2版月)『ベーシックマスター刑事訴訟法』法律文化社(2009年6月) 渥美東洋『刑事訴訟法』有斐閣(2009年4月・全訂第2版)…反実務説・反多数説を求めるならば渥美説は避けて通れない。憲法を基礎にした体系を構築。独自の体系・用語法および文章が難解なため普通の受験生には不向きだが、司法試験合格後などに是非読んでおきたい名著。 安富潔『刑事訴訟法』三省堂(2009年1月)……文字どおり研究者が書いたシケタイ。B5サイズで1冊で判例もカバーするというコンセプトまで同じ。情報量が多いため辞書として使用できるが(はしがきによれば、修習生や若手弁護士も読者として意識しているとのこと)、初学者には不向き。増刷の際に改訂頻繁。著者は他にも演習書の著書多数あり。概説書として『刑事訴訟法講義』慶應大学出版会(2007年6月) ☆平良木登規男『刑事訴訟法I・II』成文堂(2009年10月,2010年11月)……元刑事裁判官。「ひららぎ」と読む。旧著『捜査法』の改訂版ではなく全面的に新しく書き下ろされた新著。著者曰く未習向けテキスト。旧著よりもページ数がグッと減ったが内容の密度は増した。ついでに文字のポイントの小ささも増した。上訴・再審なし。『捜査法』成文堂(2000年4月・第2版)……総研との組合せで用いると良いとの声あり)。 長井圓『LSノート刑事訴訟法』不磨書房(2008年10月)……レジュメ本。「判例の理論化」という志の低い帯がついている。 加藤康榮『刑事訴訟法』法学書院(2009年4月)……元最高検検事による教科書。自説が強すぎて試験には使いづらい。 〔その他参考書〕 團藤重光『新刑事訴訟法綱要』(創文社、7訂版、1967年)……現行法の立案者による重厚な体系書。戦後の現行法施行直後に出版された初版は実務家に広く受け容れられるところとなり、ほどなく学界が平野・全集を起点として再出発、発展していく一方で、実務では今なお團藤説(権力分立・適正手続保障を基礎にしつつも、捜査を除き裁判所職権主義構造論+審判の対象として訴因に公訴事実を折衷的に加える折衷説)が随所で多大な影響力を残していると言われる。刑訴法における團藤説そのものは、刑法における團藤説と異なりもはや学界で支持されることは殆どないが、平野説と並び、殆どの文献における記述の下敷きになっている。現行法に関する最重要文献であることに間違いはない、名著。 平野龍一『刑事訴訟法』(有斐閣、1958年12月)……有斐閣法律学全集の中でも三ケ月・民訴と並び有名であり、かつ人気のある一冊。きわめてアメリカ寄りの体系に立って團藤・上掲書(とくに職権主義構造論と折衷説)を徹底的に批判し、学界で圧倒的な支持を得た結果、戦後の刑事訴訟法「学」の出発点となった。團藤・上掲書と並び称される名著である。訴因論などは今でも一読の価値があるだろう。なお、著者が学部生向けの教科書として執筆した『刑事訴訟法概説』(東京大学出版会、1968年)もあるが、平野説に触れたい場合にはより詳細な全集を読むべきであろう。 松尾浩也『刑事訴訟法上下』弘文堂(上1999年11月・新版,下1999年3月・新版補正2版☆下巻は改訂中)……東大の指定教科書。2冊組。著者は「精密司法」という用語の発案者であり、ここからも伺える通り、平野ほど現行刑事訴訟に絶望しておらず、また、アメリカ寄りにもなっておらず、本書の内容は日本の刑事訴訟法のありようを直視したものとなっている。実務家の視点に立った独自の章立てとなっており、当事者ごとに、ぐるぐるとらせん状に手続過程をたどっていくかたちになっている。網羅的で記述にムラがないが、その分、いわゆる重要論点も相対的に薄くなっている。文章は客観的かつ平易で極めて読みやすいが、かなり考えられて書かれているため、うかつに早く読み進めない方がよい。平成12年以降の新判例、法改正、最新のホットトピックについての記述はないが、近年孤立を深めていく田宮と違い、新判例との親和性はおおむね高い(ex.訴因変更の要否に関する最決平成13・4・11および松尾上261頁以下を見よ)。酒巻連載や『演習刑事訴訟法』との相性も抜群である。理論的にもっとも頼れる基本書は今なお本書であると言え、まだまだ現役で使える。2004年までの法・規則改正に関する補遺は弘文堂HP「訂正表・補遺」からダウンロードできる。 田宮裕『刑事訴訟法』有斐閣(1996年3月・新版)……制度社会学的な観点から刑事法システム全体に目配りしつつ、原理原則に立ち返る明快かつわかりやすい記述が特徴。特に伝聞法則の基礎理論の解説に定評がある。田宮説といえば、アメリカ判例法に強い影響を受けた適正手続主義が特徴だが、本書では教科書という特性からわが国の判例の解説を重視しており、結論の落とし所も必ずしも実務からかい離している訳ではない。著者が1999年に他界しているため、平成12年以降の新判例、法改正、論点については記述がなく、近時、急速な判例・立法の進展により、古典としての性格を強めつつある。もっとも、2009年度新司1位合格者もアルマ刑訴の副読本として利用しているなど、根強い人気があるのも確か。 光藤景皎『刑事訴訟法I』『口述刑事訴訟法中、下』(2007年5月,2005年4月・補訂版,2005年11月)……名前の読みは「みつどう・かげあき」。「口述刑事訴訟法」として上・中・下3冊組であったが、詳しくなりすぎたため、上は「刑事訴訟法I」として改訂。中・下の改訂・合本は今のところ未定。旧試時代から証拠法分野には定評がある。 土本武司『刑事訴訟法要義』有斐閣(1991年4月)……元最高検検事。検察よりの実務刑訴。論点落ちあり。 石丸俊彦『刑事訴訟法』成文堂(1992年5月)……裁判官出身。判例ベースで判例引用多数。全体の半分弱を証拠関係が占める。 三井誠『刑事手続法(1)・2・3・(4未刊)』有斐閣(1997年6月・新版,2003年7月,2004年5月)……法学教室での連載をまとめたもの。連載としては完結している。 平野龍一=鬼塚 賢太郎=森岡茂=松尾浩也『刑事訴訟法教材』東大出版会(1977年9月)……小説立ての教科書。平野龍一がハーバード留学の折りにあちらの証拠法の教科書を見て思いついた一冊。刑事訴訟の権威、最高裁調査官経験者が執筆者として名を連ねているが、弁護士、警察官等刑事訴訟に関係する役職全てが目を通しているため非常にリアルなプロセスを体験できる。書式も全て挿入されている。脚注には問題も設定されており演習本としての機能も備えている。そもそも読み物としても面白い。出版されてから大分経つが今なお亀井源太郎教授等が参考書として挙げている。 「刑訴三昧」……井上正仁教授の東大での講義が(無断)録音され講義録として出回った物。400頁に及び、刑訴全体が網羅されている。稀にインターネット上にアップロードされるのを見かけるが、今となっては内容は古い。 (刑訴法実務書) ☆石丸俊彦・仙波厚ほか『刑事訴訟の実務上下』新日本法規(2011年3月・3訂版)……裁判官の共著による実務家向けの刑事訴訟法の体系書。刑事訴訟手続部分だけでも、上巻726頁+下巻680頁の大著(本文)。学説については必要最小限の解説しかないが、その分実務の運用や判例の引用が多い(少数意見まで収録している)のが本書の特徴である。書式例の掲載も豊富であり実務のイメージを掴むのに便利である。学説を知らない初学者には向かないが、学説対立に辟易した上級者にならば本書は有用だろう。石丸、川上らの影響により、早稲田ローには本書を愛読する学生がちらほらいる。 平野龍一・松尾浩也編『新実例刑事訴訟法I・II・III』青林書院(1998年7月~08)……一行問題~簡単な事例問題。かつて司法試験・二回試験のタネ本といわれていた。捜査法など、新判例・法改正によって古くなってしまった部分も多々あるが、実務家の考え方を知ることの出来る良書。改訂の噂あり。 三井誠編『新刑事手続I・II・III』悠々社(2002年6月)……1つの論点を判事・検事・弁護士の3つの立場から論じており、実務家の考え方を知ることができる。 新関雅夫・佐々木史朗ほか『増補令状基本問題上下』判例時報社(2002年9月、原著1996年6月,1997年2月)……捜査法の実務的な論点について一行問題・簡単な事例問題の形式で実務家が解説。一粒社倒産のため判例時報社が引き継いだ。 ☆石井一正『刑事実務証拠法』判例タイムズ社(2011年11月・第5版)……元裁判官。証拠法分野では他の追随を許さない。実務家必携。 大阪刑事実務研究会『刑事公判の諸問題』判例タイムズ社(1989年8月)、『刑事実務上の諸問題』(1993年12月)、『刑事証拠法の諸問題上下』(2001年4月)……関西の刑事裁判官による論文集。 ☆司法研修所検察教官室編『検察講義案』法曹会(2010年6月・平成21年版)…司研テキスト(白表紙)。隠れた名著。 〔入門書〕 渡辺咲子『刑事訴訟法講義』不磨書房(2008年9月・第5版)……元検察官の著者による入門書。197条から国民の捜査協力義務を導くなどたまに独特な記述もあるが、全体としては検察実務の考え方を平易に示した好著である。口語調でわかりやすい。書式が豊富。 上口裕・後藤昭・安冨潔・渡辺修『刑事訴訟法』有斐閣S(2006年4月・第4版)……新旧の司法試験考査委員が共同で執筆。しかし、コンパクトな本に独自説を詰めこんでしまい、受験勉強に使いやすくはない。 小林充『刑事訴訟法』立花書房(2009年4月・新訂版)……元刑事裁判官。 三井誠・酒巻匡『入門刑事手続法』有斐閣(2010年5月・第5版)……入門書の定番。解釈論に深入りせずに、条文に沿って粛々と制度を説明する。 椎橋隆幸編『ブリッジブック刑事裁判法』信山社(2007年4月)……入門書。 山本正樹・渡辺修・宇藤崇・松田岳士『プリメール刑事訴訟法』法律文化社(2007年11月) 司法研修所監修『刑事第一審公判手続の概要-参考記録に基づいて』法曹会(2009年11月・平成21年版)……司法研修所の刑事裁判テキスト(白表紙)。実際の事件記録を題材に第一審の刑事訴訟手続を解説したもの。手続の流れをつかむのに最適。 総研『刑事訴訟法概説』司法協会(2011年5月・3訂補訂版) 〔コンメンタール〕 松尾浩也監修『条解刑事訴訟法』弘文堂(2009年12月・第4版)……実務必携の中型コンメンタール。弁護士以外の実務家中心で執筆しているのが特徴(そのため実務の現状を肯定する記述がほとんどである)。第3版から実質6年ぶりの改訂となり、第3版増補版から168頁増量され、被害者参加や裁判員裁判を踏まえた記述になっている。条文の注釈に加えて刑事訴訟規則の注釈までついており、規則用の索引までついている。また、文献の引用を基本的に省略しており、文字ポイントも小さいため情報量は多い。試験頻出の条文をさほど詳しく解説しているわけではないものの、条文の文言ごとの実務上の解釈を、丁寧に解説している。そのため、刑事訴訟実務の授業や修習などで、実務の考え方を知りたいときに辞書的に用いるのであれば大いに力を発揮する。執筆陣も豪華で信頼性が高く、価格の安い新基本法コンメンタールが出た現在でも、実務家が第一に参照するのは本書であろう。受験生が使うには、価格の面で新基本法コンメンタールの方に分がある。 三井誠ほか編『新基本法コンメンタール刑事訴訟法』日本評論社(2011年7月)……実務家の手による中型コンメンタール。編者の三井以外の執筆者は全て現役の法曹三者(裁判官、検察官、弁護士)であり、「裁判および検察の分野は、司法研修所の刑事裁判教官室、検察教官室が軸」となり構成されている。最高裁の刑事局課長も執筆者として重要条文を解説している。現実の解釈に直結しない学説対立についてはほとんど言及されていないが、法曹三者で意見が対立する箇所には【COLUMN】を挿入している(計10箇所。全て弁護人の立場からの提言)。平成22年までの法改正に対応、平成23年改正については改正条文(案)を掲示。『条解』に比べ、執筆者が全体的に若い。執筆者が明示されている点と値段の安さが魅力。本書においては『条解』とほぼ同じ記述の箇所が多々みられるが、これは本書(及び『条解』)が刑裁教官室、検察教官室の事実上の公式見解であることに由来すると思われる。 後藤昭・白取祐司『新・コンメンタール刑事訴訟法』(2010年7月)……TKCのインターネットコンメンタールのコンテンツを書籍化した、学生向けの中型コンメンタール。1184頁で条解(1272頁)の3分の1の価格が最大の売り。 田宮裕『注釈刑事訴訟法』有斐閣(1980年5月)……田宮先生が学生向けに書きおろした学習用コンメンタール。分厚い新書。今となっては流石に古い。刑事訴訟規則まで引用しているため、条文自体の注釈はさほど多くない。 〔判例集〕 ☆井上正仁ほか編『刑事訴訟法判例百選』有斐閣(2011年3月・第9版)……他の百選に比べて実務家の執筆者が多い。全体的に穏当な解説がされており,解説まで読み込むべきである。 ☆三井誠編『判例教材刑事訴訟法』東京大学出版会(2011年2月・第4版)……圧倒的掲載量。解説なし。 〔ケースブック〕 井上正仁他『ケースブック刑事訴訟法』有斐閣(2009年9月・第3版)……設問は難解なものが多いが、他のケースブックに比べれば使いやすい。独学には向かないので、授業やゼミでの利用を勧める。 笠井治・前田雅英編『ケースブック刑事訴訟法』弘文堂(2008年4月・第2版) 加藤克佳他編『法科大学院ケースブック刑事訴訟法』日本評論社(2007年4月・第2版) 高野隆『ケースブック刑事証拠法』現代人文社(2008年11月)……刑事弁護人による証拠法ケースブック。証拠法分野はこれ一冊で完璧。問題集というよりは判例集的な性格が強い。 渡辺咲子『判例講義 刑事訴訟法』信山社(2009年9月)……中立的な立場から重要判例を分析。一つ一つの判例につき、地裁から最高裁まで丁寧に判決の論理の変化を追うことで判例に対する理解を深めさせるというオーソドックスな形式をとっている。解説が詳しく、しかも講義調でとても分かりやすい。独学が可能な唯一のケースブックである。 長沼範良・大澤裕「判例講座・対話で学ぶ刑訴法判例」(法学教室連載・307号~不定期連載)……最近の判例を巡って学者と著名な実務家との対談形式で分析する。上の「酒巻連載」に登場するような近時の学説に対する実務からの評価・論点に関する参考文献一覧も充実しており、新判例と高水準の理論との勉強に有用。 〔演習〕 亀井源太郎『ロースクール演習刑事訴訟法』法学書院(2010年3月)……受験新報の巻末演習の単行本化。連載時は似た問題が本試験でも出るということで評判となっていた。設問はいずれも、近時の重要(裁)判例をモデルにした長文事例問題であり、解説もおおむね穏当で参考になるが、ほとんどの設問で事案が判例そのままとなっているため、実戦訓練にはやや物足りないだろう。 長沼範良・酒巻匡・田中開・大澤裕・佐藤隆之『演習刑事訴訟法』有斐閣(2005年7月)……法学教室の連載の単行本化。一行問題の類が多く問題集というよりも論点集に近いが、東大系の主流学派の問題意識がよく分かるので、学生向けの参考書としてなかなか使い勝手がよい。一時期増刷されなくなりプレミアがついていたが、1年余りの停止期間を経て再度増刷された。改訂の噂有り。 井田良=田口守一=植村立郎=河村博『事例研究刑事法2』(2010年9月)……刑訴の最重要論点について、現役の裁判官・検察官らを中心とした執筆陣がかなり自由度の高い解説をしている。設問の数は捜査5問・公判9問と少なめだが、各設問の末尾の関連問題まで潰せば広い範囲の論点をカバーできる。上記の特徴を有する『演習刑事訴訟法』と比べると、本書の方がより実践的と言えるが、長文事例問題集というよりは中文事例問題集とでも言うべき水準で,別の言い方をすれば、ロースクールの期末試験には出題されそうだが、司法試験には出題されそうにないといった類の問題が多い。編著者に東大系の学者がおらず解説も玉石混淆であるが、実務家の解説は実践的で役に立つ。 安冨潔『旧司法試験 論文本試験過去問 刑事訴訟法』辰巳法律研究所(2004年5月)……教授による旧司法試験過去問解説講義を書籍化。問題解説・受験生答案・答案の検討からなる。全34問。 絶版だったがオンデマンド版で復刊された。丁寧かつ論理的に問題を検討しており、解説は信頼がおけるものになっている。しかし、受験生答案に細かく注文をつけるスタイルは好みが分かれるだろう。なお、平成12年度の旧版に平成13-15年度の解説を加えただけなので、新判例に対応できていない部分もある。 佐々木正輝・猪俣尚人『捜査法演習』立花書房(2008年4月)……検察官派遣教官による捜査法の演習本。条文・判例を重視した手堅い解釈論は非常に参考になる。 ☆古江賴隆『事例演習刑事訴訟法』有斐閣(2011年2月)……法学教室の連載の単行本化。3問をプラスし、学生が混乱するポイントについての解説を加えてあるほか、事例問題の解き方についても冒頭で書かれており、その意味でも参考になる。実務家(検察官)出身ではあるが、実務追認というわけではなく、近時の判例を踏まえているのはもちろんのこと、学界の動向(とくに東大系学者の最新知見)をも踏まえた内容となっており、かなり理論的に詰めてある。主要論点をあまねく網羅しているわけではないものの、概ね重要論点はカバーしており、論点勉強としてもなかなか使える。